新編秋田弁講座文法篇第50課：終助詞⑨：「よね」「のよね」

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文法篇第50課：終助詞⑨：「よね」「のよね」

　みなさんこんばんは。

　齶田浦蝦夷です。

　今回は秋田弁講座の第50回目。

　取り扱うのは、標準語の「よね」「のよね」に当たる

　秋田方言です。

　と言っても、秋田弁の場合の「よね」「のよね」は標準語と違い、

　男女ともに使うのですけれども、

　ともあれ、講座を開始しましょう。ではどうぞ。

文法

１．同意を求める疑問「～よね？」・呆れや諦めのこもった詠嘆「～よね…。」

　秋田弁では、標準語の疑問・詠嘆の「～よね」は、「～やな」という。これは例外なく用言の終止形に接続する。

　今、標準語との対応関係に着目してまとめ直せば、以下のようになる。

①「～[用言終止形]よね」→「～やな」

	秋田弁	標準語
動詞型	今日雪降るやな…。困ったごど。	今日は雪が降るよね…。困ったなぁ。
形容詞型	こさﾝだば誰もこねぁやな？	ここには誰も来ないよね？
形容動詞型	んだやな…。貧相ﾝだやな…。	そうだよね…。貧相だよな…。
指定「ﾝだ」	あれ父さんだやな？	あれは父さんだよね？

説明

１．接続は、用言の終止形。例外はない。

２．疑問用法の意味は、相手への同意を求める疑問「～よね？(そうだよね？)」である。

３．詠嘆用法の意味は、呆れや諦めを含む詠嘆「(嫌だけど・認めたくないけど)～よね…。」。

４．詠嘆用法は、上記の例では分かりやすく「…」と書いてあるけれど、当テキストの会話文などでは逐一「？」とか「…」とか書いてあるわけではないのでそこは留意されたい。

②「～[用言連体形]のよね」「～[用言連体形]んだよね」→「～なﾝだやな」「～あんだやな」

(A)「なﾝだやな」の例

	秋田弁	標準語
動詞型	今日雪降るなﾝだやな…。困ったごど。	今日は雪が降るのよね…。困ったなぁ。
形容詞型	こさﾝだば誰もこねぁなﾝだやな？	ここには誰も来ないのよね？
形容動詞型	んだなﾝだやな…。貧相ﾝだなﾝだやな…。	そうなのよね…。貧相なのよな…。
指定「ﾝだ」	あれ父さんだなﾝだやな？	あれは父さんなのよね？

(B)「あんだやな」の例

	秋田弁	標準語
動詞型	今日雪降るあんだやな…。困ったごど。	今日は雪が降るんだよね…。困ったなぁ。
形容詞型	こさﾝだば誰もこねぁあんだやな？	ここには誰も来ないんだよね？
形容動詞型	んだあんだやな…。貧相ﾝだあんだやな…。	そうなんだよね…。貧相なんだよな…。
指定「ﾝだ」	あれ父さんだあんだやな？	あれは父さんなんだよね？

説明

１．「のよね」→「なﾝだやな」、「んだよね」→「あんだやな」という感じの対応関係だが、秋田弁の「なﾝだやな」と「あんだやな」の場合は別に意味やニュアンスに違いはない。

２．意味は、疑問用法の意味は、相手への同意を求める疑問「～のよね/んだよね？(そうだよね？)」で、詠嘆用法の意味は、呆れや諦めを含む詠嘆「(嫌だけど・認めたくないけど)～のよね/んだよね…。」である。要は先ほど習った「やな」と同じ使い分け。

３．接続は、用言の連体形である。助動詞「なﾝだ」「あんだ」の終止形「やな」がついただけの表現なので、当然である。疑問・詠嘆の使い分けが「やな」と同じなのも、単に助動詞に「やな」を付けてできただけの表現だから当たり前である。

４．連体形接続なので、形容動詞型や指定「ﾝだ」の場合、「なのよね」「なんだよね」に対して秋田弁では「ﾝだなﾝだやな」「ﾝだあんだやな」という差異が生まれる。いつもの現象。

５．なお、(A)の例文に「んだなﾝだやな」とあるが、文法的には間違いないが、実際の会話では聞いた覚えがない。「んだあんだやな」の方は割とよく聞く。

６．「なﾝだ」と「あんだ」が相互に置き換え可能であるように、「なﾝだやな」「あんだやな」も相互に置き換え可能である。

参考：「なﾝだやな」と「あんだやな」は相互に置き換え可能

	秋田弁の「なﾝだやな」の例文	秋田弁の「あんだやな」の例文
動詞型	今日雪降るなﾝだやな…。困ったごど。	今日雪降るあんだやな…。困ったごど。
形容詞型	こさﾝだば誰もこねぁなﾝだやな？	こさﾝだば誰もこねぁあんだやな？
形容動詞型	んだなﾝだやな…。貧相ﾝだなﾝだやな…。	んだあんだやな…。貧相ﾝだあんだやな…。
指定「ﾝだ」	あれ父さんだなﾝだやな？	あれ父さんだあんだやな？

説明

１．見ての通り、相互に置き換え可能。意味もニュアンスも違いがないから当然である。

２．なお、実は「んだなﾝだやな」は正直実際には聞いたことがない。なぜかいつもみんな「んだあんだやな」の方を用いている。「んだあんだやな」はもはや慣用表現として覚えた方がいいのかもしれない。

２．秋田弁の二つの「のよね」「んだよね」

　標準語の「のよね」「んだよね」を意味する言葉として、秋田弁には、１で勉強した「～なﾝだやな」「～あんだやな」の他にも、「なやな」という言葉がある。

「なﾝだやな」「あんだやな」が相手への同意を求める疑問・呆れや諦めの詠嘆を表すのに対し、「なやな」は、話し手から見た物事の実情を述べる文脈で使う。

まぁ難しく考えず、「～のよね？/んだよね？(そうだよね？)」や「(嫌だけど、認めたくないけど、)～のよね…。/～んだよね…。」という意味ならば「～なﾝだやな」「～あんだやな」を使い、「(気持ちはどうあれ実情として)～のよねぇ/～んだよねぇ」という意味ならば「～なやな」を使えばいい。()のような言外の意味に着目して、使い分けをすればいい。

３．話し手の知る実情を述べる「なやな」

　「なやな」は、例外なく用言の連体形に接続するが、標準語との対応関係に着目してまとめ直すと以下のようになる。

①「～[用言連体形]のよねぇ/んだよねぇ。」→「～なやな。」　注意：女性語ではない。

	秋田弁	標準語
動詞型	駅まﾝでってば時間かがるなやな。	駅までとなれば時間がかかるんだよねぇ。
形容詞型	これ、意外ど難しなやな。	これ、意外と難しいのよねぇ。
形容動詞型	んだなやな。田舎って静がﾝだなやな。	そうなのよねぇ。田舎って、静かなのよねぇ。
指定「ﾝだ」	あれﾝだば馬鹿ﾝだなやな。	あいつは馬鹿なんだよねぇ。

説明

１．接続は、用言の連体形。例外はない。

２．意味は、「なやな」はあくまで実情を述べる言葉。故に話し手に疑問の余地は一切ない。ただ、詠嘆の気持ちは別に含まれてもよいので「なﾝだやな」「あんだやな」との使い分けが難しい。

３．使い分けのコツとしては、詠嘆の意味を含む場合は、「嫌だけど」の気持ちが強くて実情は関係ない場合に「なﾝだ/あんだやな」を使い、それ以外で且つ話し手の知る実情を述べる場合は「なやな」を使おう。まぁ実際の会話文などを通して感覚を掴んでもらうたい。

４．なお、連体形接続なので、いつものように、形容動詞型や指定「ﾝだ」の対訳において、黒太字のような差異(「な」→「ﾝだ」という違い)が生じている。もう説明は不要だろう。

５．なお、形容動詞型の例文に「んだなやな」があるが、これは会話でかなりよく使われる。そもそも「そうだよね」という場合というのは、大体話し手が知る実情について述べる文脈なので、多用されるのも必然であろう。

６．なお、この「なやな」の使用の有無は地域差や世代差がある。使わない地域では「なﾝだやな」「あんだやな」系の言葉を使うのだろう。因みに使う地域でも世代が下るほど「なやな」は使われなくなり、「あんだやな」系を代わりに使う傾向が強くなる。

会話

A：おや、あﾝだ湊さんねの奥さんだやな？しばーらぐー。

訳：おや、あなた湊さんの家の奥さんだよね？ひさしぶり。

B：あい、んだすﾝどもおらがだどごがﾝで会ったすべが？

訳：あら、そうですけれども私たちどこかで会いましたでしょうか？

A：おや、おれつら見でわがらねぁが？向げぁねﾝで住んであった阿部ﾝだー。

訳：おや、私の顔を見てわからないか？向かいの家に住んでいた阿部だよ。

B：あい、あﾝだあの阿部さんだあんだすか？あいーしばらぐ見ねぁうぢにずいぶん変わった

訳：まぁ、あなたあの阿部さんなんですか？あらあらまぁまぁしばらく見ないうちにずいぶん変わった

ごど。

なぁ。

A：んー、んだがー？自分でﾝだばなんも変わったどごねぁつもりﾝでいだﾝども…んだやな。

訳：うん、そうかぁ？自分では全然変わったところはないつもりでいるけど…そうだよね。

最後に会ったなあど十年も前の話ﾝだものな。見でわがらねぁたってなんもおがしぐ

最後に会ったのはもう十年も前の話だものね。見てわからないとしても何もおかしくは

ねぁやな。…だﾝどもあﾝだまだなして今なってこっちゃ戻って来たあんだ？たしか

ないよね。…けれどあなたったらどうして今になってこっちへ戻って来たんだ？たしか

息子夫婦のどごさ行ってやがなるどって都会の方さ引っ越してったどもってあったﾝども。

息子夫婦のところへ行って世話になろうと思って都会の方へ引っ越して行ったと思っていたけど。

B：あい、あﾝだまだずげずげど人さ聞ぎにぎごど聞ぐごど。

訳：あら、あなたったらずけずけ人に聞きにくいことを聞くなぁ。

A：…なに、なにが聞げば悪りごどﾝだあんだが？んだらゆわねぁたっていﾝども。

訳：…なんだい、なにか聞くと悪いことなのか？そうなら言わないとしても[＝言わなくても]いいけど。

B：ははは、なも、別ﾝだごどねぁ。たんだに息子夫婦離婚して、孫がだもままんで離えで

訳：ははは、いや、特別なことはない。ただ単に息子夫婦が離婚して、孫たちも皆一様に離れて

しまったがらせぁ、一緒にいだたってなもなねぁどもってまだこっちゃ越して来たなﾝだ。

しまったからさぁ、一緒にいたところで何にもならないと思ってまたこっちへ越して来たのだ。

A：おや、そんだごどあったなげぁ？そえﾝだば難儀ﾝであったごど。…はー、んだやな。

訳：おや、そんなことがあったのかい？それは難儀だったなぁ。…はぁ、そうだよね。

なんもわげもねぁぐこっちゃ戻るはずねぁやな。悪り、無神経ﾝだごど聞でしまったは。

何もわけもなくこっちへ戻るはずないよね。悪い、無神経なことを聞いてしまった。

B：あい、なも、いー。いずれ人がだかってなし戻ってきたなが、なにがあったながどって

訳：あら、いや、いいよ。いずれ人々にどうして戻ってきたのか、なにかあったのかと

騒か゚えであったべもの。一度どさが越してった人戻ってこえば、人かってわげ聞がえる

騒がれていただろうからね。一度どこかへ越して行った人が戻って来れば、人にわけを聞かれる

なﾝだば当だり前ぁﾝだあんだ。気にさねぁﾝでけれ。

のは当たり前なんだ。気にしないでくれ。

A：んだが？そーいってけるごったばおえも気ー楽なるたって…しかししばらぐﾝであったごど。

訳：そうか？そう言ってくれるならば私も気が楽になるけれど…それにしてもひさしぶりだなぁ。

あど帰ってきたごったら旦那さんも一緒に戻ってだあんだやな？旦那さんなにしてだ？

もう帰ってきたなら旦那さんも一緒に戻っているんだよね？旦那さんはどうしている？

元気ﾝでいだがは？

元気でいるか？

B：あい、とーさんげぁ？…なも、おらえのとーﾝだばすっかり元気ねぁぐしてしまったえんで、

訳：あら、父さんかい？…いや、私の家の父さんはすっかり元気をなくしてしまったようで、

でっきりものしゃべねぁぐなってしまったは。

さっぱりものを喋らなくなってしまった。

A：おや、なんとほんとにげぁ？なしてまだそー元気ねぁぐなったあんだ？あのにぎやがﾝだ

訳：おや、おいおい本当にかい？どうしてまたそう元気がなくなったんだ？あのにぎやかな

人なんもものしゃべねぁぐなるなんて想像つがねぁﾝども。

人が全然ものを喋らなくなるなんて想像つかないけれども。

B：ははは、なも、あの人ﾝだばせぁ、ほんとに孫がだどごﾝだばたいしたいだわしか゚って

訳：ははは、いや、あの人はさぁ、本当に孫たちは[=をば]とても可愛がって

あったもの。

いたからね。

A：あー、…孫がだままんで嫁っこかってつでがえでげぁ？

訳：ああ、…孫たちが皆一様に嫁に連れて行かれてかい？

B：えー、んだ。

訳：ええ、そうだ。

A：はー、んだなやな。離婚するってばな、子供ってほどんとかーさんどさつでがえるなやな。

訳：はぁ、そうなんだよねぇ。離婚するとなればね、子供ってほとんど母さんのところに連れて行かれるんだよねぇ。

B：んだなよー。して子供どさ会わえねぁぐなるし、んでも銭[じぇん]ねぁば子供育でらえねぁ

訳：そうなのよ。そして子供に会われなくなるし、でもお金がなければ子供を育てられない

どって銭だばけでやらねぁばなねぁしﾝだべー？…ほんとにこえﾝだば、離婚なのして

と言ってお金はくれてやらなければならないしだろう？…本当にこれだと、離婚などして

なにいーごどあるあんだべがな…。

なにいいことがあるんだろうかね…。

A：して湊さん孫ど会わえねぁぐなって元気ねぁぐしてしまったってげぁ？

訳：それで湊さんは孫と会われなくなって元気をなくしてしまったというのかい？

B：えー、んだ。ほんとにつまらねぁ話ﾝだやな。息子ど嫁っこど仲悪りぐなったがらって

訳：ええ、そうだ。本当につまらない話だよね。息子と嫁とが仲が悪くなったからと言って

おらがだまﾝで孫ど会わえねぁぐなるでごどあるがー？…ちゅっても、しかだねぁごどﾝ

私たちまで孫と会われなくなるということがあるかぁ？…と言っても、仕方がないこと

だあんだやな、じんじょ。じじばばがださ孫の親権なのねぁべし、結局子供がだど孫の

なんだよね、きっと。爺さん婆さんたちに孫の親権などないだろうし、結局子供たちと孫の

問題ﾝだなやな、こえﾝだば。…はー、子供どごﾝだば責任持だねぁばなねぁがら育でるに

問題なんだよねぇ、これは。…はぁ、子供は[＝をば]責任を持たなければならないから育てるのが

よいﾝでねぁﾝども、孫どごﾝだば責任持だねぁってもいがらなぼﾝでもめんけか゚るにい

大変だけれども、孫は[＝をば]責任を持たなくてもいいからいくらでも可愛がることができる

どってゆーﾝども、…なんだがなー、おもしぇぐねぁな、こえﾝだば。

と言うけれども、…なんだかねぇ、おもしろくないね、これは。

A：うﾝー、…そえﾝだばんだべな。…だﾝども奥さん、結局なして離婚なのするごどなった

訳：うん、…それはそうだろうね。…だけど奥さん、結局どうして離婚などをすることになった

あんだ？なにがおっきﾝだ喧嘩したがらわんざに別えだなﾝだやな？なにもどﾝで離婚なの

んだ？なにか大きな喧嘩をしたからわざわざ別れたのよね？なにが原因で離婚など

したなんだ？

したんだ？

B：あい、…やっぱり気になるすか？

訳：あら、…やっぱり気になりますか？

A：そえﾝだば気になるでぁー。あーなも、いーでぁぐねぁがらいわねぁってもいﾝども。

訳：それは気になるよ。ああいや、言いたくないなら言わなくてもいいけど。

B：はー、…なも、いあんだ。…だﾝどもごらさらしﾝだ話ﾝだがらせぁ…。

訳：はぁ、…いや、いいんだ。…けど恥さらしな話だからさぁ…。

A：おや、ごさらしって、…なに、そんだ悪りごどしたな？

訳：おや、恥さらしって、…え、そんな悪いことをしたの？

B：あい、なも、そーゆーごどﾝでﾝだばねぁったたって、…毎朝間食べであったたまこ゚の

訳：あら、いや、そういうことではないけれども、…毎朝食べていたたまごの

味つけ、砂糖かげるが塩かげるがﾝでもめで、して結局二人して毎朝間喧嘩して別えだ

味つけ、砂糖をかけるか塩をかけるかでもめて、それで結局二人で毎朝喧嘩して別れた

あんだ。

んだ。

A：…なっと？

訳：…なんだって？

B：たまこ゚の味つけﾝで喧嘩して別えだって。…ほんとにごさらしﾝだやな？笑ってけれ。

訳：たまごの味つけで喧嘩して別れたって言ったんだ。…本当に恥さらしだよね？笑ってくれ。

おらあどしょししてなもかもなねぁは。

私はもう恥ずかしくて仕方がないや。

A：はー、そえﾝだばなんと…笑う気もさねぁは。なしてそんだらごどﾝで離婚すでごど

訳：はぁ、それはなんとまぁ…笑う気にもならないや。どうしてそんなことで離婚するということが

あるって…。最初がらたまこ゚さ味つけねぁﾝで自分のなさﾝだげ好ぎﾝだ方かげれば

あるというのだ…。最初からたまごに味をつけないで自分のものにだけ好きな方をかければ

そえﾝですむ話ﾝだべ？なしてそったごどﾝで別れねぁばなねぁあんだ？

それですむ話だろう？どうしてそんなことで別れなければならないんだ？

B：んだーがらして。んだがらせぁ、おらがだも何回もしゃべったなよ。「んだごどﾝで

訳：まったくだよ。だからさぁ、私たちも何回も喋ったのよ。「そんなことで

喧嘩するごったら最初がら味つけさねぁﾝで自分のなさばり塩ﾝでも砂糖ﾝでもかげで

喧嘩するなら最初から味つけしないで自分のものにだけ塩でも砂糖でもかけて

食ぅぇばいべって。…んだﾝども嫁っこﾝだばいうにせぁ、「砂糖つだたまこ゚おいしど

食えばいいだろうって。…けれども嫁は、言うのはさぁ、「砂糖がついたたまごをおいしいと

もわねぁ人どなの一緒にいらえねぁー。」だどってごしゃぐし、おらえの息子も息子ﾝで

思わない人となど一緒にいられないよ。」と言って怒るし、私の家の息子も息子で

「塩つけだたまこ゚食ゎえねぁあじどなの一緒にいらえねぁー。」だどってごしゃぐし、

「塩をつけたたまごを食えない奴となど一緒にいられないよ。」と言って怒るし、

…じんじょ餓鬼ﾝだなﾝだやな、あの二人ﾝだば。体ばりおっき、心のちっちぇぁ餓鬼ﾝだ、

…きっと餓鬼なのよね、あの二人は。体だけが大きい、心の小さい餓鬼だ、

ほんとに。…はー、なして自分好ぎﾝだもの人も好ぎﾝでねぁばんたどって騒く゚なﾝだべがなー。

本当に。…はぁ、どうして自分が好きなものを人も好きでなければ嫌だと騒ぐのだろうかねぇ。

人ﾝだもの。好ぎﾝだもの違うな当だり前ぁﾝだあじ…はー、ほんとにほじねぁ二人ﾝであったっけ。

人だからね。好きなものが違うのは当たり前なのに…はぁ、本当に馬鹿な二人だったよ。

A：はー、なるほﾝどなー。嫁っこど別れだたってなしてわんざに息子ﾝだ人ども別えで

訳：はぁ、なるほどねぇ。嫁と別れたとしてもどうしてわざわざ息子である人とも別れて

越してきたあんだべがって不思議ﾝであったﾝども…なるほﾝどな。たしかにそんだ

越してきたんだろうかと不思議だったけれども…なるほどね。たしかにそんな

ばがっけがだどﾝだば一緒にいだたってなんもなねぁど思うやな。…自分がだ別えれば

馬鹿たちとは一緒にいたところでなんにもならないと思うよね。…自分たちが別れれば

子供がだなんとなるどって考えねぁがったあんだがや？

子供たちがどうなるかと考えなかったのかねぇ？

B：そんだごど考えれだごったらあんたはんかくせぁ喧嘩朝間っからさねぁべせぁ。…あの

訳：そんなことを考えられたならあんな馬鹿くさい喧嘩を朝っぱらからしないだろうさ。…あの

二人ﾝだばほんとにほじねぁあんだ。自分のごどばーり気にして、おれがだのごども

二人は本当に馬鹿なんだ。自分のことばっかり気にして、私たちのことも

子供がだのごどもなんも考えねぁﾝでくﾝだらねぁごどﾝで喧嘩して勝手に別えで…はー、

子供たちのこともなにも考えないでくだらないことで喧嘩して勝手に別れて…はぁ、

ほんとになさげねぁは。あえﾝでおらがだの息子ﾝだあんだやな。どごﾝで育でがだ間違った

本当になさけないや。あれで私たちの息子なんだよね、どこで育て方を間違った

あんだべ…。

んだろう…。

しめぁに

　以上で今回の秋田弁の勉強はおしまいです。

　ではまた。へばまず。

秋田の方言(秋田弁)勉強・学習サイト