新編秋田弁講座文法篇第26課：補助動詞・補助形容詞

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文法篇第26課：補助動詞・補助形容詞

　みなさんこんにちは。

　齶田浦です。

　今回は、第26回目の秋田弁講座文法篇。

　学ぶのは「補助動詞・補助形容詞」です。

　構成はいつも通り。

　対訳付の会話文は終わりの方の「会話」のところに載せてあります。

　ではどうぞ。

文法

１．補助動詞とは？

補助動詞は、「用言＋接続助詞『て』＋補助動詞」の形で使われる表現で、助動詞のように用言に様々な意味を加える言葉。

秋田弁の補助動詞は、標準語の各補助動詞と完全に対応している。語形や音や活用などだけ、対応する秋田弁に変えればよい。

補助動詞の例	秋田弁の例文	標準語訳
-てみる	試しにやってみれ。	試しにやってみろ。
-てくる	寒びぐなってくる。	寒くなってくる。
-てほし	見で欲し。	見て欲しい。
-てしまう	あど寝でしまった。	もう寝てしまった。
-てある	そさ干してあるや？	そこに干してあるよ？

説明

１．「てみる」の命令形が「てみれ」になったり、「てほしい」が「てほし」になったりというように、活用形はしっかり秋田弁になる。

２．これに関連して、「～てくる」は活用は特に注意しよう。秋田弁の「来る」の仮定形・命令形は標準語のそれと違うので、以下のようになるのである。

	秋田弁の例文	標準語訳
仮定形	見で来[こ]れば/来[こ]えば/来[こ]ばいべ。	見て来ればいいだろう。
命令形	見で来[こ]い/来[け]！	見て来い！

２．接続助詞「て」「で」の濁音・清音

　補助動詞を使うには、接続助詞「て」「で」がどのような場合に濁音・清音になるかを理解した方がよいだろう。ここではそのルールをまとめる。

①原則：濁音「で」となる。

「で」の例	秋田弁	標準語
例①	見でみる	見てみる
例②	書でみる	書いてみる
例③	死んでみる	死んでみる

②例外１：「き」「し」「っ」の直後の場合は、清音「て」となる。

「て」の例	秋田弁	標準語
例①「き」	来てみる	来てみる
例①「き」	着てみる	着てみる
例②「し」	してみる	してみる
例②「し」	殺してみる	殺してみる
例③「っ」	立ってみる	立ってみる
例③「っ」	歌ってみる	歌ってみる

③例外２：打消の助動詞「-ねぁ」の直後の場合は、鼻音化して「ねぁﾝで」となる。

「ﾝで」の例	秋田弁	標準語
例①	見ねぁﾝでしまった。	見ないでしまった。
例②	書がねぁﾝできた。	書かないできた。
例③	死なねぁﾝで生ぎ残った。	死なないで生き残った。

３．接尾語的に使われる補助動詞・補助形容詞

　「分かり-易い」「分かり-難い」「使い-切る」「言い-かねる」のような、動詞の連用形に直接くっつく補助動詞も存在するが、これも標準語のそれと完全に対応している。形や活用が秋田弁のものに変わっているだけである。

	秋田弁	標準語
「-やし」の例	分がり-易[や]し	分かり-易い
「-にぎ」の例	分がり-難[に]ぎ	分かり-難い
「-ﾝづれぁ」の例	分がり-ﾝづ[辛]れぁ	分かりづら[辛]い
「-きる」の例	使い-切[き]る	使い-切る
「-すき゚る」の例	言ー-過き゚る	言い-過ぎる
「-すき゚ﾝだ」の例	言ー-過き゚ﾝだ	言い-過ぎである

説明

１．「易い」「難い」「辛い」等補助形容詞は、前の語との結びつきが他の表現よりも強いようで、一語化して発音する。そのため実際の発音は、「-にぎ」「-づれぁ」は、秋田弁では「-ﾝにぎ」「-ﾝづれぁ」となる(表記の規則に従い「ﾝにぎ」は「にぎ」と書いてある)。

２．「-すき゚ﾝだ」は、補助動詞でも補助形容詞でもないけれども、「連用形＋過き゚＋指定の助動詞『だ』」で、「～し過ぎである」の意を表せる。

例文

	秋田弁	標準語
「-やし」	ながなが使い易[や]しがった。	なかなか使い易かった。
「-にぎ」	使い難[に]ぎば別のな使えは。	使い難ければ別のものを使いなさいな。
「-ﾝづれぁ」	使いﾝづ[辛]れぁば別のな使えは。	使いづら[辛]ければ別のを使いなさいな。
「-きる」	人どご信じ切[き]ってしまえば危ねぁや？	人を信じ切ってしまえば危ないよ？
「-すき゚る」	夏休み少しあすび過き゚だえんだ。	夏休み少し遊び過ぎたようだ。
「-すき゚ﾝだ」	なもやり過き゚ﾝでもねぁべ。	別にやり過ぎでもないだろう。

４．秋田弁の補助動詞「～ている」

　標準語の補助動詞「ている」は、秋田弁では普通「ている」の「い」が抜け落ちた形「てる」となる。以下、()内の「い」は省略されるのが通例である。

	秋田弁	標準語
未然形	-て(い)-ねぁ	-て(い)-ない
連用形	-て(い)-でぁ	-て(い)-たい
終止形	-て(い)る	-て(い)る
連体形	-て(い)る-づぎ	-て(い)る-とき
仮定形	-て(い)れ-ば	-て(い)れ-ば
命令形	-て(い)れ	-て(い)ろ

説明

・補助動詞の一種である。よって活用はやはり秋田弁の「いる」の活用となる（下一段活用）。

例文

	秋田弁	標準語
未然	誰も立って(い)ねぁ。	誰も立って(い)ない。
連用	死ぬまﾝで寝ねぁﾝで(い)でぁな。	死ぬまで寝ないで(い)たいね。
終止	ん前ぁ話聞で(い)るが？	お前話聞いて(い)るか？
連体	人急んで(い)るづぎ止めるなでぁ。	人が急いで(い)るとき止めるなよ。
仮定	まず笑って(い)れば良あんだ。	ひとまず笑って(い)れば良いんだ。
命令	まずん前ぁはよこ゚がねぁﾝで(い)れ。	まぁん前ぁは動かないで(い)ろ。

補足①：標準語の「～ていた」は、秋田弁では普通「～てあった」と言う。

	秋田弁	標準語
例①	俺らそのづぎ泣であった。	私はその時泣いていた。
例②	そのづぎ泣であった子供	その時泣いていた子供

補足②：「ては…」「ても…」等、間に言葉が挟まれる場合は、「～てﾝだばいねぁ」「～てもいねぁ」などとなる。つまり、「い」を省けない。

	秋田弁	標準語
例①	あれ寝でﾝだばいねぁ。	彼は寝てはいない。
例②	見でもいねぁ。	見てもいない。

補足①②の例文

	秋田弁	標準語
補足①	人来てあったが？	人が来ていたか？
	急んであったづぎ話かげられで大変であった。	急いでいた時話かけられて大変だった。
補足②	死んでﾝだばいねぁがったﾝども危篤ﾝであった。	死んではいなかったが、危篤だった。
	そんだごど聞でもいねぁど？	そんなことは聞いてもいないぞ？

５．秋田弁の補助動詞「～ていく」

　標準語の補助動詞「ていく」は、秋田弁では普通「ていく」の「い」が抜け落ちた形「てぐ」となる(「ぐ」は、訛って濁ったもの)。

	秋田弁	標準語
未然形	-て(い)が-ねぁ	-ていか-ない
連用形	-て(い)ぎ-でぁ	-ていき-たい
連用形促音便	-て(い)っ-た	-ていっ-た
終止形	-て(い)ぐ	-ていく
連体形	-て(い)ぐ-づぎ	-ていく-とき
仮定形	-て(い)げ-ば	-ていけ-ば
命令形	-て(い)げ	-ていけ

説明

１．補助動詞なので秋田弁「いぐ」と同じ活用(五段活用動詞)である(「い」は省かれるが)。

２．「行ぐ」と同じ活用なので、当然、連用形には「行った」「行ったり」「行って」のような促音便の形がある。

例文

	秋田弁	標準語
未然形	買って(い)がねぁが？	買っていかないか？
連用形	この本こごﾝで読んで(い)ぎでぁなー。	この本をこごで読んでいきたいねぇ。
連用形促音便	なんも言わねぁﾝで(い)っても駄目ﾝだ。	なにも言わないでいってもいけない。
終止形	これも持って(い)ぐが？	これも持っていくか？
連体形	死んで(い)ぐづぎは一緒ﾝだ。	死んでいくときは一緒だ。
仮定形	人のもの盗んで(い)げば駄目ﾝだ。	人のものを盗んでいけば駄目ﾝだ。
命令形	まず少し見で(い)げ。	まぁ少し見ていけ。

補足②：「ては…」「ても…」等、間に言葉が挟まれる場合は、「～てﾝだばいがねぁ」「～てもいがねぁ」などとなる。つまり、「い」を省けない。

	秋田弁	標準語
「てﾝだば」	やっぱり買ってﾝだばいがねぁべが。	やはり買ってはいかないだろうか。
「ても」	話しかげでもいがねぁﾝで(い)った。	話しかけてもいかないで行った。

６．秋田弁の補助動詞「～てくれる」

　秋田弁では、「くれる」は「ける」となる。このため標準語の補助動詞「てくれる」も、秋田弁では「てける」となる。

	秋田弁	標準語
未然形	-てけ-ねぁ	-てくれ-ない
連用形	-てけ-だ	-てくれ-た
終止形	-てける	-てくれる
連体形	-てける-づぎ	-てくれる-とき
仮定形	-てけれ-ば	-てくれれ-ば
命令形	-てけれ	-てくれ

説明

・標準語の「くれる」は、命令形だけ不規則で「くれろ」ではなく「くれ」になるが、秋田弁ではご覧の通り普通の下一段活用動詞の規則通りの「けれ」となる。

例文

	秋田弁	標準語
未然形	誰も信じでけねぁ。	誰も信じてくれない。
連用形	あの人俺どご助けでけだ。	あの人は私を助けてくれた。
終止形	俺どごばり見でけるもの。	私をだけ見てくれるもの。
連体形	俺どごばり愛してける人ど結婚してぁ。	私をだけ愛してくれる人と結婚したい。
仮定形	笑って(い)でければそれﾝで良あんだ。	笑って(い)てくれればそれでいいんだ。
命令形	悪りたって手伝ってけれ。	悪いが手伝ってくれ。

補足：否定の依頼命令「～ないでくれ。」→「～ねぁﾝでけれ。」と言う。

	秋田弁	標準語
例①	おが見ねぁﾝでけれ！	あまり見ないでくれ！
例②	そんだごどﾝでそんでぁに笑わねぁﾝでけれ。	そんなことでそんなに笑わないでくれ。

会話

A：あいー、この筆っこ書ぎﾝづれぁごど。

訳：あらもう、この筆は書きづらいなぁ。

B：おや、んだってげぁ？どごさﾝでもある普通の筆ﾝだどもうたって、そんでぁに使い

訳：おや、そうだってかい？どこにでもある普通の筆だと思うけれど、そんなに使い

にぎってげぁ？

にくいというのかい？

A：使いﾝづれぁー。疑うごったらめぁも使ってみれせぁ。こー書ぎﾝづれぁば字ー汚ねぁぐ

訳：使いづらいよ。疑うならお前も使ってみろ。こう書きづらいと字が汚く

なって駄目ﾝだでぁは。

なっていけないよ。

B：おや、そんでぁに書ぎにぎってげぁは？どれ、せばおれどさ貸してみれ。おら書でみらな。

訳：おや、そんなに書きにくいというのかい？どれ、じゃあ私に貸してみろ。私が書いてみよう。

…んー、…。

…うーん、…。

A：なんたﾝだ？使いにぎぐねぁ？

訳：どうだい？使いにくくない？

B：んー、おれがらせば、かえって使いやしえんだ気ーするﾝどもな。

訳：うーん、私からすれば、かえって使いやすいような気がするけどね。

A：あい、ほんとにげぁ？めぁこんたな使いやしってげぁ？…変わった人ﾝだごど。

訳：まぁ、本当にかい？お前はこのようなのが使いやすいというのかい？…変わった人だなぁ。

B：おや、変わった人って、めぁもまだ失礼ﾝだごどゆーねぁが。なに使いやししてなに使い

訳：おや、変わった人って、お前って奴は失礼なことを言うじゃないか。なにが使いやすくて何が使い

ﾝづれぁがなの、人によるものﾝだべ？自分がらせば使いﾝづれぁな人使えばんでねぁ

づらいかなど、人によるものだろう？自分からすれば使いづらいのを人が使えばそうではない

がらって変わり者扱いするなしゃ。なんーだって、好ぎﾝでねぁごど。

からと言って変わり者扱いするな。まったくもう、気に食わないなぁ。

A：あい、めぁもまだ、別にそんたごしゃがねぁってもいーべー？人のちょっとしたしゃべ

訳：もう、お前って奴は、別にそんな怒らなくてもいいだろう？人のちょっとした話し

がださそー文句つけねぁってもいーねぁは。

方にそう文句をつけなくてもいいじゃないか。

B：はー、まずいーﾝどもよー、んだﾝどもせばなんとす？めぁこえ使わねぁごったばあど

訳：はぁ、まぁいいけどよぉ、けれどもじゃあどうする？お前がこれを使わないならばもう

使うにい筆っこなんもねぁあんだべ？新しな買ってきて欲しごったらおら買ってきても

使うことができる筆はなにもないんだろう？新しいのを買って来て欲しいなら私が買って来ても

いやは？

いいよ？

A：あい、ほんとにげぁ？悪りごど。手数かげで。…だﾝどももの使い切らねぁうぢになけ゚る

訳：あら、本当にかい？悪いなぁ。お手数をかけて。…だけどものを使い切らないうちに捨てる

なもいだわしやな。この筆っこせばなんとせばいべ？

のも勿体ないよね。この筆をじゃあどうすればいいだろう？

B：なも、いー。その筆っこﾝだばおれもらうがら。

訳：いや、いいよ。その筆は私がもらうから。

A：あい、めぁ、ほんとにこえ使いやしどってだなげぁ？

訳：あら、お前、本当にこれが使いやすいと言っているのかい？

B：…さきたがら使いやしちゅったった(=てあった)ねぁ。めぁまだ人どご疑ってあったながは？

訳：…さっきから使いやすいと言っていたじゃない。お前って奴は人を疑っていたのか？

A：…なも、おえも別に疑ってあったわげﾝでﾝだばねぁったたって、めぁﾝだばもの大事に

訳：…いや、私も別に疑っていたわけじゃあないけれども、お前はものを大事に

する人ﾝだがら、なけ゚るないだわしどってあーゆったなﾝでねぁがなーどもって。

する人だから、捨てるのが勿体ないと思ってああ言ったのではないかなぁと思って。

B：なんーだでめぁもまだ、やっぱり疑ってあったあんだねぁが。

訳：もう、お前って奴は、やっぱり疑っていたんじゃないか。

A：なもなも、疑ってﾝだばいねぁー。おれﾝだばたんだに、「めぁはもの大事にする優し人ﾝ

訳：いやいや、疑ってはいないよ。私はただ、「お前はものを大事にする優しい人

だがらこんだごどいってものなけ゚ねぁえにしてけでるあんだべなー。」どもって感心

だからこんなことを言ってものを捨てないようにしてくれているんだろうねぇ。」と思って感心

してだなﾝだー。

していたのだよ。

B：なんーだってめぁもよぐ口回るおなこ゚ﾝだねぁが。人のゆーごど素直に受げ取らねぁﾝで

訳：まったくもうお前もよく口の回る女じゃないか。人の言うことを素直に受け取らないで

信じねぁごど、疑うってゆーなﾝだべー？んだがらめぁはやっぱりおれのしゃべった

信じないことを、疑うと言うのだろう？だからお前はやっぱり私の喋った

ごど疑ってるなﾝだー。

ことを疑っているのだよ。

A：あい、…まずそーこﾝづがねぁﾝでけれでぁ。あどいらねぁぐしゃべねぁがら。

訳：あら、…まぁそういじめないでくれよ。もう不必要に喋らないから。

B：こﾝづぐって、めぁﾝだばほんとに人どご根性悪りあじﾝだど思いでぁえんだな。めぁ

訳：いじめるって、お前は本当に人を意地が悪い奴だと思いたいようだね。お前が

おがしけﾝだしゃべがだするがらこーゆーなﾝであって、おれﾝだばなもこﾝづでなの

おかしな話し方をするからこういうのであって、私はぜんぜんいじめてなど

いねぁー。

いないよ。

A：あい、んだすか？

訳：あら、そうですか？

B：んだやー？なしてこーめぁは…。はー、まずいは。めぁどしゃべってればきりねぁして

訳：そうだよ？どうしてこうお前は…。はぁ、まぁいいや。お前と喋っているときりがなくて

やぢゃねぁ。せばまず、おれ筆っこ買ってきてけらはな。

駄目だ。じゃあまぁとにかく、私は筆を買って来てくれよう。

A：あい、今がら買うにあぐってげぁ？

訳：あら、今から買いに歩くというのかい？

B：えー、まずな。今日ﾝだばちょーﾝど店屋ﾝで安売りしてだえんだもの。どーせ買うごったば

訳：ええ、まぁね。今日はちょうど店で安売りをしているようだからね。どうせ買うならば

安売りの日買ってげば一番いべ？

安売りの日に買って行けば一番いいだろう？

A：えー、そえﾝだばんだべたって、別にそー急か゚ねぁってもいあんでねぁが？おらそんだ

訳：ええ、それはそうだろうけれど、別にそう急がなくてもいいんじゃないか？私はそんな

急んでもいねぁなﾝだや？

急いでもいないのだよ？

B：んー、んだべたって、安売りの日なのそーなんぼもあるもんでねぁもの。どーせ買う

訳：うーん、そうだろうけれど、安売りの日などそういくらもあるものではないからね。どうせ買う

ごったら今日買ってった方いべー？いずれいづが買うもんだあんだがら。

なら今日買って行った方がいいだろう？いずれはいつか買うものなんだから。

A：んー、なぼー安売りﾝだたって、そー急ﾝで買うに行ってもいぐねぁどもうたってな。

訳：うーん、いくら安売りだとしても、そう急いで買いに行ってもよくないと思うけどね。

もの安しぐ売る日ってばめぁいらねぁものまﾝで買ってくるごどいげぁあるねぁが。

ものを安く売る日となるとお前は要らないものまで買って来ることが多くあるじゃないか。

いらねぁぐもの買ってけば駄目ﾝだやー？

不必要にものを買って来てはいけないよ？

B：…なに、おえいっつもそんでぁにいらねぁぐもの買ってきてるってげぁは？

訳：…え、私はいつもそんなに不必要にものを買って来ているというのかい？

A：買ってきてるー。せんだっても、店員さんかって「おどーさん、このテレビ、ほんとﾝだば

訳：買って来ているよ。先日も、店員さんに「お父さん、このテレビ、本来ならば

二十万もするあじ、今ﾝだら半額の十万円で買うにいやー？今買えばたいした得ﾝだもの。

二十万もするのに、今なら半額の十万円で買うことができるよ？今買うととても得だからね。

今買ってげー。」だどってゆわえだっけ、すんま「おや、んだすか。へば買ってがな。」

今買って行きなさい。」と言われたところ、すぐ「おや、そうですか。じゃあ買って行こう。」

だどって買ってきたねぁ？テレビなのまﾝだおらえﾝで使うにいあじなんぼﾝでもあるに

と言って買って来たじゃない？テレビなどまだ私の家で使うことができるものがいくらでもあるのに

なして買ったっては？

どうして買ったっていうの？

B：…んだって、十万円も安しぐ売ってけるでもの。そーまげでけるごったら、買っても

訳：…だって、十万円も安く売ってくれるというからね。そうまけてくれるなら、買っても

行がねぁﾝでたんだに眺めでばりいるなも失礼ﾝだねぁが。

行かないでただただ眺めてばかりいるのも失礼じゃないか。

A：あいー、めぁﾝだばほんとに銭[じぇん]使う術[すべ]わがらねぁ人ﾝだごど。なぼー安売りﾝだ

訳：もうー、お前は本当にお金の使い方がわからない人だなぁ。いくら安売りだ

どって騒んだたって、使うもさねぁあじ買ったたってなんもなねぁべー？安しぐ売らえでる

と言って騒いだとしても、使いもしないのを買ったところで何にもならないだろう？安く売られている

がら得ﾝだなんて思うもんでねぁー。もの買うづぎは、ほんとに要るものﾝだげ買うえに

から得だなんて思うものではないよ。ものを買う時は、本当に要るものだけを買うように

して、要るものの中ﾝで安しぐ売らえるごどあるづぎばり得ﾝだ買い物したってゆー

して、要るものの中で安く売られることがある時だけ得な買い物をしたと言う

なﾝだー。なんーだってめぁまだ、…めぁみでぁんたあじばりいれば店の人がだもたいした

のだよ。まったくもうお前って奴は…お前のような奴ばかりがいれば店の人たちもとても

商売楽ﾝでいごど。

商売が楽でいいなぁ。

B：…おえそんでぁに買い物下手ﾝだがや？いっつも得したつもりﾝで安しぐさえでるなばり

訳：…私はそんなに買い物が下手かねぇ？いつも得したつもりで安くされているのばかり

買ってきてあったあじ。

買って来ていたのに。

A：…ほんとに銭[じぇん]使う術[すべ]知らねぁ人ﾝだな、めぁﾝだば。めぁみでぁんだあじどご

訳：…本当にお金の使い方を知らない人だね、お前は。お前のような奴を

商売やってる人がだﾝだば「かも」ってゆーなﾝだ。…まず、こえがらちゃんと気ーつけれな？

商売をやっている人たちは「かも」と言うのだ。…まぁ、これからちゃんと気をつけなさいね？

A：…はい、わがりました。気をつけます。

訳：…はい、わかりました。気をつけます。

⁠

しめぁに

　以上で今回の勉強はおしまい。

　ではまた来週。

　へばまず。

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