第41課：副助詞②
みなさんこんにちは。
今回も、秋田方言の副助詞について勉強しますよ。
１．秋田弁の副助詞②
今回は、秋田弁の独自用法を持つ副助詞について学ぶ。原則は以下のように、対応する標準語を秋田弁に置き換えればよい。
①「は」→原則「は」を省く。 例：これは何だ？→これ何[なに]ﾝだ？
②「しか」→「より」。 例：三つしかない。→三っつよりねぁ。
③「だけ」→「(ﾝ)だげ」。 例：魚だけもらう。→魚ﾝだげもらう。
④「など」→「なの」。例：知らないなどと言う。→知らねぁなのって言う。
練習問題１：次の()内の標準語を、秋田弁にしてみよう。
(1)あれ(は)誰ﾝだ？―あれ(は)俺家の太郎ﾝだ。(2)これ(は)何ﾝだ？―これ(は)教科書ﾝだ。(3)太郎、前ぁ(は)それﾝで良な？(4)この家さﾝだば俺(しか)いねぁや？(5)お菓子五っつ(しか)買って来ねぁや？(6)飲み物牛乳(しか)ねぁ。(7)欲しな(だけ)選ぶ。(8)バイギンク゚ﾝだもの。好ぎﾝだな好ぎﾝだ(だけ)食うに良あんだ。(9)言われれば言われる(だけ)反抗してぁぐぁなるものﾝだ。(10)誰行ぐ(など)って言った？(11)俺ら歌(など)歌いでぁぐねぁ。
２．秋田弁副助詞の独自の用法
①「は」
Ⅰ：一般的な事物の普遍的な性質/事実/真理を言う時は、「は」を付ける。
石は硬い。→石は硬でぁ。
死ぬ時は死ぬ。→死ぬづぎは死ぬ。
Ⅱ：命令・禁止文の「Aは～しろ/するな」という時も、「は」を付ける。
お前は黙っていろ！→お前ぁは黙ってれ！
先生は口出ししないで！→先生は口出しさねぁﾝで！
Ⅲ：対比・取り立てなど強調的な意味では「は」でなく「(ﾝ)だば」と言う。
あいつは馬鹿だからねぇ。→あれﾝだば馬鹿ﾝだがらなー。
今日はいいけど、明日は駄目だ。→今日ﾝだばいﾝども、明日ﾝだば駄目ﾝだ。
Ⅳ：否定文で使う「は」も強調的な意味が強いので普通「(ﾝ)だば」になる。
私は知らない。→俺ﾝだば知らねぁ。
彼は酒は飲まない。→あれ酒ﾝだば飲まねぁ。 「酒は」が強調のケース。
彼は酒を飲まない。→あれﾝだば酒飲まねぁ。 「彼は」が強調のケース。
練習問題２：次の()内の標準語を、秋田弁にしてみよう。
(1)頑張っても上手ぐ行がねぁづぎ(は)上手ぐ行がねぁ。(2)秋田弁(は)秋田の方言だ。(3)前ぁ(は)まず喋るな！(4)前ぁ(は)黙ってれ。(5)母さん(は)まず口挟まねぁﾝで！(6)先生(は)分がるべたって俺(は)馬鹿ﾝだもの。そんだごど知らねぁ。(7)前ぁ(は)天才ﾝだものな。(8)俺(は)行がねぁや？
②「より」…行動の限定「～する[連体形]しかない」「～する[連体形]より他ない」→「～する(より)他ねぁ」と言う。「より」はなくてもよい。
我慢するしかないんだ。→我慢する(より)他ねぁあんだ。
諦めるより他ないだろう。→諦める(より)他ねぁべ。
③「(ﾝ)だげ」
Ⅰ：程度「～くらい」「～ほど」の意味でも用いる。
それくらいあれば十分だ。→それﾝだげあれば十分だ。
今日は寒いくらいだ。→今日ﾝだば寒びﾝだげﾝだ。
これほど食ってまだ満足しない？→こえﾝだげ食ってまﾝだ満足さねぁ？
立てないほど疲れているということがあるか？→立だえねぁﾝだげこえぁでごどあるが？
説明：といっても、秋田弁の程度の「だげ」の主流は「～[用言連体形]だげ」の方である。程度の「～[名詞]だげ」は、標準語同様「それ/これ/あれ/どれﾝだげあれば良べ？」等、指示語「これ」「それ」「あれ」「どれ」と一緒に使う文脈でしか使われないようだ。
Ⅱ：標準語の「～[用言]分だけ」は、「～[用言]ﾝだげ」の一語で済む。
自分が食う分だけ取れ。→自分食うﾝだげ取れ。
欲しい分だけ買え。→欲しﾝだげ買え。
④「なの」…標準語の「だの」と全く同じ意味でも使われる。
水だの酒だの売る。→水なの酒なの売る。
勉強だので忙しいのだ。→勉強なのﾝで忙しあんだ。
練習問題３：次の()内の標準語を、秋田弁にしてみよう。
(1)これ(くらい)あればいべ。(2)震える(くらい)寒びな、今日ﾝだば。(3)声枯れる(くらい)大声ﾝでわんわんど泣だ。(4)自分飲む(分だけ)コップっこさへれ。(5)ん前ぁ食ってぁ(分だけ)取って食えば良あんだ。(6)うるせぁ(だの)喋るな(だの)、あれﾝだば文句ばりつぐがら好ぎﾝでねぁ。(7)あれﾝだばまﾝだ若げぁもの。恋愛(だの)ﾝで忙しえんだ。(8)それ(ほど)銭[じぇん]あっても足えねぁってげぁ？(9)涙出る(ほど)痛でぁがった。
練習問題解答：
練習１：(1)省略・省略(2)省略・省略(3)省略(4)より(5)より(6)より(7)ﾝだげ(8)ﾝだげ(9)ﾝだげ(10)なの(11)なの
練習２：(1)は(2)は(3)は(4)は(5)は(6)ﾝだば・ﾝだば(7)ﾝだば(8)ﾝだば
練習３：(1)ﾝだげ(2)ﾝだげ(3)ﾝだげ(4)ﾝだげ(5)ﾝだげ(6)なの・なの(7)なの(9)ﾝだげ(10)ﾝだげ
終ぁに
以上で今回の秋田弁の学習は終いです。
ではまたこんど。へばな。
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- お知らせ
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- 第83課：慣用表現①：単語
- 第84課：慣用表現②：熟語①
- 第85課：主な慣用表現③
- 第86課：主な慣用表現④：疑問詞を用いた慣用表現
