第28課：補助動詞・補助形容詞①
みなさんこんにちは。
今回は、標準語で言う「補助動詞・補助形容詞」にあたる秋田方言の表現を勉強しますよ。
１．補助動詞とは？
補助動詞は、「用言＋接続助詞『て』＋補助動詞」の形で使われる表現で、助動詞のように用言に様々な意味を加える言葉。
秋田弁の補助動詞は、標準語の各補助動詞と完全に対応している。語形や音や活用などだけ、対応する秋田弁に変えればよい。
試しにやってみろ。→試しにやってみれ。
寒くなってくる。→寒びぐなってくる。
見て欲しい。→見で欲し。
補足：「～てくる」は活用に注意しよう。秋田弁の「来る」の仮定形・命令形は標準語のそれと違うので、以下のようになる。
見て来ればいいだろう。→見で来[こ]れば/来[こ]えば/来[こ]ばいべ。
見て来い！→見で来[こ]い/来[け]！
２．接続助詞「て」「で」の濁音・清音
補助動詞を使うには、接続助詞「て」「で」がどのような場合に濁音・清音になるかを理解した方がよいだろう。ここではそのルールをまとめる。
①原則：濁音「で」となる。
見てみる→見でみる 書いてみる→書でみる 死んでみる→死んでみる
②例外１：「き」「し」「っ」の直後の場合は、清音「て」となる。
き：来てみる→来てみる 着てみる→着てみる
し：してみる→してみる 殺してみる→殺してみる
っ：立ってみる→立ってみる 歌ってみる→歌ってみる
③例外２：打消の助動詞「-ねぁ」の直後の場合は、鼻音化して「ねぁﾝで」となる。
見ないでしまった→見ねぁﾝでしまった 死なないで生きている→死なねぁﾝで生きでる
練習問題１：次の()内の標準語を秋田弁にしてみよう。
(1)(読んで)来た。(2)(死んで)しまった。(3)(書いて)ある。(4)(泣いて)しまった。(5)(急いで)けれ。(6)寝でる人どご(跨[また]いで)しまった。(7)自分で(見て)みれ。(8)少し(寝て)来い。(9)早えぁぐ(来て)けれ。(10)試しに(着て)みれ。(11)少し頭(冷やして)来い。(12)少し我慢(して)けれ。(13)(笑って)みだ。(14)(待って)けれ。(15)なんも(聞かないで)しまった。(16)(笑わないで)聞でけれ。(17)もう(泣かないで)けれ。
３．接尾語的に使われる補助動詞・補助形容詞
「分かり-易い」「分かり-難い」「使い-切る」「言い-かねる」のような、動詞の連用形に直接くっつく補助動詞も存在するが、これも標準語のそれと完全に対応している。形が秋田弁のものに変わっているだけである。
分かり-易い→分がり-易[や]し
分かり-難い→分がり-難[に]ぎ
分かりづら[辛]い→分がり-ﾝづ[辛]れぁ
使い-切る→使い-切[き]る
言い-過ぎる→言ー-過き゚る
※：言い-過ぎである→言ー-過き゚ﾝだ
説明：「易い」「難い」「辛い」は前の語との結びつきが他の表現よりも強いようで、一語化して発音する。そのため実際の発音は、「-にぎ」「-づれぁ」は、秋田弁では「-ﾝにぎ」「-ﾝづれぁ」となる(表記の規則に従い「ﾝにぎ」は「にぎ」と書いてある)。※は、補助動詞でも補助形容詞でもないけれども、「連用形＋過き゚＋指定の助動詞『だ』」で、「～し過ぎである」の意を表せる。
練習問題２：次の()内の標準語を秋田弁にしよう。
(1)ながなが(使い易かった)。(2)これﾝだば(見辛い)。(3)(使い辛けれ)ば別のな使えは。(4)夏休み少し(遊び過ぎた)えんだ。(5)悪りがったな。あれﾝだば(言い過ぎだった)。(6)人どご(信じ切って)しまえば危ねぁや？(7)あれﾝだば(言い難い)ごどﾝでもはっきり言う人ﾝだもの。(8)あれﾝだば(話し易くて)たいした良ー。(9)なも(やり過ぎで)もねぁべ、これぐれぁﾝだば。
練習問題解答：
練習問題１：(1)読んで(2)死んで(3)書で(4)泣で(5)急んで(6)跨[まだ]んで(7)見で(8)寝で(9)来て(10)着て(11)冷やして(12)して(13)笑って(14)待って(15)聞がねぁﾝで(16)笑わねぁﾝで(17)泣がねぁﾝで
練習問題２：(1)使い易しがった(2)見辛れぁ(3)使い辛れぁ(4)遊び過き゚だ(5)言ー過き゚ﾝであった(6)信じ切って(7)言ー難ぎ(8)話し易しして(9)やり過き゚ﾝで
終ぁに
以上で、今回の秋田弁学習はおしまいです。
ではまた。へばな。
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- 第63課：接続詞②
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- 前回に引き続き、秋田弁のやや特殊な名詞についての勉強です。
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