秋田弁講座第2課：代名詞②「物事/場所/方角代名詞および接尾語」
みなさん、こんにちは。齶田浦です。
今回は、置換で学ぶ秋田弁の2回目となります。
前回同様、気楽にやってください。
１．物事代名詞
「これ」「あれ」「それ」「どれ」→そのまま。
これは何だ？→これ何[なに]ﾝだ？
あれは犬だ。→あれ犬ﾝだ。
それは本当だ。→それﾝだば本当[ほんと]ﾝだ。
どれが欲しい？→どれ欲し？
練習問題１：次の()内の標準語を秋田弁にしてみよう。
(1)俺ら(これ)欲し。(2)貴方(どれ)欲し？(3)(あれ))何[なに]ﾝだ？(4)(それ)要[い]るが？
２．場所代名詞
①「ここ」「そこ」「どこ」→「こご」「そご」「どご」となる。
ここはどこだ？→こごどごﾝだ？
そこは危ない。→そごﾝだば危ねぁ。
②「あそこ」→「あっこ」となる。
あそこは危険だ。→あっこﾝだば危ねぁ。
あそこに行くのか？→あっこさ行ぐなが？
補足：「あそこ」は、「あすこ」とも言う。
あそこは危険だ。→あすこﾝだば危ねぁ。
あそこに行くのか？→あすこさ行ぐなが？
練習問題２：次の()内の標準語を秋田弁にしてみよう。
(1)(あそこ)さ人いる。(2)(そこ)ﾝだば危ねぁがら駄目ﾝだ！(3)まず(ここ)さ座るべ。(4)ん前ぁ(あそこ)の人見えるが？(5)こら、(どこ)さ行ぐ？
３．方角代名詞
「こっち」「そっち」「あっち」「どっち」→そのまま。
こっちにある。→こっちさある。
そっちに行った。→そっちさ行った。
あっちにいる。→あっちさいだ。
どっちに座る？→どっちさ座る？
補足：方角代名詞は、標準語同様、選択の文脈でも使う。
どっちがいいかな？→どっちいがな？
私はこっちの方がいいな。→俺らﾝだばこっちの方いな。
練習問題３：次の()内の標準語を秋田弁にしてみよう。
(1)(こっち)さ来て座れ。(2)ん前ぁ(どっち)欲し？(3)俺ら(そっち)の方欲しな。(4)(あっち)さ行ってみねぁが？
４．接尾語
①「っこ」：小さいものや、話し手にとって愛着があるものにつける。
虫っこ：小さい。 お椀っこ：愛着。 蠅ただきっこ：愛着。
説明：「っこ」は名詞の語尾につける。特に意味はない。現代秋田弁では、「太郎」「秋田」など、人名地名[＝固有名詞]には付けないので注意。
練習問題４：次の()内の秋田弁を、「っこ」を付けた形にしてみよう。
(1)ん前ぁの(茶碗)持って来[け]。(2)悪りﾝども(箸立で)持って来てけれ。(3)(虫)出できたごど。(4)ん前ぁ今(百円玉[ひゃぐえんだま])持ってねぁが？
②「方[がだ]」：複数であることを表す。標準語の「たち」に近い言葉。
太郎方：太郎たち。
きのご方：きのこ[複数]：このように具体物にも付けることが可能。
俺方：私たち：このように人代名詞に付けることが可能。
これ方：これら：このように物代名詞に付けることが可能。
説明：「方[がだ]」は名詞の語尾につける。人だけでなく、具体的に存在する物[具体物]や動植物にも付けられる点で標準語の「たち」と違う。なお、物や動植物が複数なら必ず使うわけではない。物や動植物について使う際は、目に見える範囲にある場合に使うのが自然。
練習問題５：次の()内の秋田弁を、「方」を付けた形にしてみよう。
(1)そごさある(ティッシュ)ゴミ箱さ投け゚れ。(2)(それ)あど片つけでいが？(3)(ん前ぁ)この字読めるが？(4)(あれ)ﾝだば馬鹿っけﾝだものな。(5)(これ)今年の新入生ﾝだす。(6)あっこの(本)あど投け゚れ。(7)あの(烏[からす])どごさ行ぐべ？(8)(花子)明日修学旅行ﾝだど。
練習問題の解答：
練習問題１；(1)これ(2)どれ(3)あれ(4)それ
練習問題２：(1)あっこ(2)そご(3)こご(4)あっこ(5)どご
解説：「あっこ」は、「あすこ」でもよい。
練習問題３：(1)こっち(2)どっち(3)そっち(4)あっち
練習問題４：(1)茶碗っこ(2)箸立でっこ(3)虫っこ(4)百円玉っこ
練習問題５：(1)ティッシュ方(2)それ方(3)ん前ぁ方(4)あれ方(5)これ方(6)本方(7)烏方(8)花子方
おわりに
以上にて、今回の秋田弁の勉強もおしまいです。
それでは今回もこの辺で。へばなー。
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