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第58課(新版):感動詞②:「呼びかけ」「掛け声」

第58課:感動詞②:「呼びかけ」「掛け声」

 みなさん、こんにちは。

 

 前回に引き続き、秋田弁の感動詞を学びます。

1.秋田弁の呼びかけを表す感動詞

 

1.秋田弁の呼びかけを表す感動詞

①おい→おい 例:おい、話ちゃんと聞け。→おい、話ちゃんと聞げ。

②こら→こら 例:こら、話聞いているか?→こら、話聞でるが?

③さあ→さっ 例:さあ、そろそろ行こうか。→さっ、そろそろ行ぐが。

④そら→そら 例:そら、そっちに行ったぞ!→そら、そっちさ行ったど!

⑤どれ→どれ 例:どれ、私に貸してご覧。→どれ、俺さ貸してみれ。

⑥もしもし→もしもし 例:もしもし、阿部です。→もしもし、阿部ンです。

説明:⑥の電話の言葉は少し特殊なので注意。秋田弁の文法に照らせば、普通「阿部です」→「阿部ンだす」になるべきなのだが、電話の言葉では習慣的に標準語を真似して「もしもし、○○~(ン)です。」から始まる。後で勉強するが、挨拶の決まり文句は秋田弁文法からずれてるものが結構ある。

 

2.秋田弁独自の、呼びかけを表す感動詞

「ねぇってば!」「ねぇ?」→「えー?」

①「ねぇってば!」→「えー?」。相手が自分の発言を聞いてない時に、反応を促す言葉。

A:お前どこかに行くの?→お前ぁどさが行ぐな?

B:…[無視]。→…[無視]。

A:ねぇってば!お兄さん!→えー?あんちゃん!

 

②「ねぇ?」→「えー?」。相手に質問したあとにすぐに相手に反応を促す言葉。

A:ここにお金を入れていたのに、なんにもないや。どうしてだろうね。ねぇ?父さん?

→こさ銭[じぇん]へであったあじ、なんもねぁは。なしてンだべなー。えー?とーさん。

説明:①②ともに呼びかけの「えー?」である。以前習った、聞き漏らした言葉を聞き返す時の「えー?」とは別物。従って「えーーーー?」のような長い発音にはならない。拍数は表記通りの二拍程度である。因みに発音の仕方は、標準語の不良が凄んで言う尻上がりの「あぁ⁉」の「あ」段の音をそのまま秋田弁の「え」段の音に変えれば再現できる。

 

練習問題1:次の()内の標準語を、秋田弁にしてみよう。

(1)(おい)、人呼んでるあじ、返事せでぁ。(2)(こら)、ん前ぁ方そごンで何してる?(3)(さあ)、あど寝る時間だ。にしぎさ行げは。(4)(そら)、ん前ぁさも貸すがらやってみれ。(5)問題解げねぁど?(どれ)、俺さ見せでみれ。(6)あっ、(もしもし)、伊藤ンですどーも。お世話様ンですー。(7)なに、今日学校ンだあんだ?―…。―(ねぇってば。)太郎!(8)なに、母さんがら電話来てあった?―…。―(ねぇってば。)花子!※にしぎさ行ぐ…寝敷・寝室に行く。(9)おらがだも若げぁうぢンだばいろんだどさ遊[あす]ぶにありったもんであったやな?えー?お父さん。(10)誰こんだごどしたあんだべなー。えー?兄さん。

3.掛け声を表す感動詞

秋田弁の掛け声を表す感動詞は、以下の三つのみ。

①よいしょこしょ→おいしょごしょ/あいしょごしょ

②よっこいしょ→おっこいしょ ※「あっこいしょ」とは言わない。

③よいしょ→おいしょ/あいしょ

説明:お年寄りの使用例を聞く限り、立ち上がる時、歩く時、物を動かす時などの力を入れる動作全般の他、坐って腰を下ろす時にも使う。

 

練習問題2:次の()内の標準語を、秋田弁にしてみよう。

(1)【椅子に座る時】(よっこいしょ)。あいこえぁ。なしてこーこえぁ。(2)【荷物を持ち運んでいる時】(よいしょ)、(よいしょ)。あー重でぁごど。(3)【歩いている場面】(よいしょこしょ)、(よっこいしょ)、(よいしょ)、(よいしょ)。はー、年行げば駄目ンだなー、婆[ばば]あげねぁぐなったは。

語釈:①こえぁ…体が疲れている状態を表す形容詞。②婆[ばば]…婆さんのこと。お年を召した女性が自分を指して「婆」ということがある。③あぐ…歩く、の意。

練習問題解答:

練習問題1:(1)おい(2)こら(3)さっ(4)そら(5)どれ(6)もしもし(7)えー?(8)えー?(9)えー?(10)えー?

練習問題2:(1)おっこいしょ(2)おいしょ・おいしょ(3)おいしょごしょ・おっこいしょ・おいしょ・おいしょ

解説:「おいしょ」は「あいしょ」でもよく、「おいしょごしょ」は「あいしょごしょ」でもよい。なので、練習問題2の(3)などは、「あいしょごしょ・おっこいしょ・あいしょ・あいしょ」などととしても可である。

終わりに

 以上で今回の勉強は終わりです。

 

 ではまたこんど。へばな。

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第84課:慣用表現②:熟語①
第85課:主な慣用表現③
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