秋田弁講座第6課：形容動詞
みなさん、こんにちは。
今回は秋田方言講座第6回目で、形容動詞について勉強します。
１．形容動詞とは？
「静かな場所」「ここは静かだ」「静かに眠る」と、名詞を修飾する時には「-な」、文を終止させる時には「-だ」、用言[＝動詞や形容詞など]を修飾する時には「-に」、と活用する用言のこと。
２．形容動詞の語幹
形容動詞は、標準語であれ秋田弁であれ、その語幹をもとに活用させる。そのため、まずは「語幹とはどの部分なのか」を知らなければならない。
秋田弁形容動詞の語幹の作り方：
①標準語形容動詞の終止形から「だ」を取り除く。
静かだ→静か：これが標準語の形容動詞の語幹。
積極的だ→積極的：これが標準語の形容動詞の語幹。
説明：「だ」を取り除いたものが、標準語の形容動詞の語幹である。
②語幹を秋田弁に訛らせる。これで完成。
静か→静[しず]が
積極的→積極的[せっきょぐでぎ]
練習問題１：次の標準語の形容動詞から、語幹部分を取り出そう。
(1)綺麗だ(2)繊細だ(3)消極的だ(4)のどかだ
３．形容動詞の活用
①連用形１：「-に」→「語幹＋に」。
静かに眠る。→静がに眠る。：静が＋に
積極的に質問する。→積極的に質問する。：積極的＋に
説明：ここでいう「語幹」は秋田弁の語幹。以下同じである。
②連用形２：「-で」→「語幹＋ﾝで」。「で」の直前の音節が鼻母音になる。
静かで綺麗だ。→静がﾝで綺麗ﾝだ。：静が＋ﾝで
ここは静かではない。→こごﾝだば静がﾝでねぁ。：静が＋ﾝで
静かではないが、綺麗だ。→静がﾝでﾝだばねぁﾝども、綺麗ﾝだ。：静が＋ﾝで
説明：「-ではない」は、秋田弁では普通「-ﾝでねぁ」となる。ただ、「は」の強調の意味合いが強い文脈においては、「-ﾝでﾝだばねぁ」となる。
③連用形３：「-だっ」→「語幹＋ﾝであっ」。同じく直前音節鼻母音化。
静かだった。→静がﾝであった。：静が＋ﾝであっ
積極的だった態度→積極的ﾝであった態度：積極的＋ﾝであっ
綺麗だったらもらう。→綺麗ﾝであったらもらう。：綺麗＋ﾝであっ
静かだったりもする。→静がﾝであったりもする。：静が＋ﾝであっ
説明：「語幹＋ﾝであっ」の後ろには、過去の「た」、仮定の「たら」、並列の「たり」、接続の「て」が用いられる。
練習問題２：次の()内の標準語を、秋田弁に翻訳してみよう。
(1)綺麗(に)書ぐ。(2)静が(に)眠る。(3)のﾝどが(で)気持ぢ良。(4)積極的(で)ねぁ。(5)綺麗(であっ)て、可憐(で)ﾝだばねぁ。(6)昔綺麗(だっ)た娘(7)楽観的(だっ)たり悲観的(だっ)たり気まく゚れﾝだ。(8)のﾝどが(だっ)たら良。(9)繊細(だっ)た。
３．形容動詞の活用の続き
④終止形「-だ」→「語幹＋ﾝだ」。同じく直前音節の母音を鼻母音化。
ここは静かだ。→こごﾝだば静がﾝだ。：静が＋ﾝだ
お前は積極的だなぁ。→お前ぁﾝだば積極的ﾝだごど。：積極的＋ﾝだ
⑤連体形「-な」→「語幹＋ﾝだ」。同じく直前母音鼻母音化。
静かな場所→静がﾝだ場所：静が＋ﾝだ
積極的な態度→積極的ﾝだ態度：積極的＋ﾝだ
⑥仮定形「-なら」→「語幹＋ﾝだら」を使う。後ろに「ば」は付けない。
静かなら有り難い。→静がﾝだら有[あ]り難[か゚]でぁ。：静が＋ﾝだら
積極的なら上手く行く。→積極的ﾝだら上手ぐ行ぐ。：積極的＋ﾝだら
補足：「-なら」→「-ﾝだ」でも可。この時は必ず仮定の「ば」を付ける。
静かならば有り難い。→静がﾝだば有り難でぁ。
積極的ならば上手く行くだろう。→積極的ﾝだば上手ぐ行ぐべ。
練習問題３：次の()内の標準語を、秋田弁に翻訳しよう。
(1)綺麗(な)字(2)のﾝどが(な)場所(3)こごﾝだば静が(だ)。(4)あれﾝだば繊細(だ)。(5)綺麗(なら)ば欲し。(6)綺麗(なら)欲し。(7)のﾝどが(なら)住みでぁ。(8)のﾝどが(なら)ば住みでぁ。
練習問題解答：
練習問題１：(1)綺麗(2)繊細(3)消極的(4)のどか
練習問題２：(1)に(2)に(3)ﾝで(4)ﾝで(5)ﾝであっ・で(6)ﾝであっ(7)ﾝであっ・ﾝであっ(8)ﾝであっ(9)ﾝであっ
練習問題３：(1)ﾝだ(2)ﾝだ(3)ﾝだ(4)ﾝだ(5)ﾝだ(6)ﾝだら(7)ﾝだら(8)ﾝだ
備考：「ん」は母音でない。だから如何なる場合も鼻母音化はされえない。
終わりに
以上にて、今回の秋田弁の勉強もおしまいです。
それでは、また次回。へばなー。
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- 前回に引き続き、秋田弁のやや特殊な名詞についての勉強です。
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