秋田の方言(秋田弁)勉強・学習サイト

　みなさん、こんばんは。

　今回は、秋田弁の「いる」に関連する表現についての補足です。少々めんどうですが、おぼえていきましょう。

補足：「いだ」＝「いであった」、「て(い)だ」＝「てあった」のケース

　秋田弁では上記の「いだ」が標準語の過去「いた」、上記の「～て(い)だ」が標準語の過去「～ていた」を表す場合もある。

①「いた」→「いだ」となる例。

②「ていた」→「て(い)だ」となる例。

以前、第11課においては秋田弁で「いた」→「いであった」、第29課においては「～ていた」→「～てあった」と説明したけれども、現実の秋田弁では「いた」→「いだ/いであった」、「ていた」→「て(い)だ/てあった」というように、二つの表現が併用されているのが実情である。

　両者の使い分けは、曖昧でさほど厳密でもないが、目安としては、「いだ」「て(い)だ」はほんのちょっと前において「いた」「ていた」ことに対して用いる傾向があるのに対し、「いであった」「てあった」は(話者の感覚として)ある程度時間が経った感じのある「いた」「ていた」に対して用いる傾向が強い。話者の感覚として、現在からさほど時間の経っていないちょっぴり前の過去(＝小過去)ならば「いだ」「て(い)だ」を、現在からは大分時間が経ってやや遠い感じになった明確な過去(＝大過去)ならば「いであった」「てあった」を使う傾向が強い、というわけである。

　なお、「～ずにいる」「～ないでいた」は、いずれも「～ねぁﾝでだ」と言うのが普通。

説明：これは、ちょっと前の過去だとか遠い過去だとかいう区別はない。なお、祖母は使わなかったものの、他の秋田弁話者で「～ずにいる」→「～ねぁﾝでる」、大過去「～ないでいた」→「～ねぁﾝであった」という表現を使う人がいたので、それを用いても問題なかろう。

練習問題２：次の()内の標準語を、補足の①②を用いた秋田弁にしよう。

(1)おや、太郎いねぁぐなったは。さきたまﾝでそﾝで(いた)あじ。(2)五分ぐれぁ前ぁまﾝで家ﾝで(いた)ﾝども、今まだどさが行ったえんだ。(3)さきたまﾝでわんわんど (泣いていた)あじ、あど元気なってだ。(4)あー、ん前ぁ勉強 (していた)なげぁ。(5)あのころﾝだばろぐに人の話も(聞かないでいた)っけ。(6)なんと、お前ぁ俺来るまﾝでずっと掃除も(しないでいた)ってげぁ。(7)めぁまだ、まﾝだ仲直り(しないでいる)なげぁ？

解説：「て(い)だ」は、「てだ」「ていだ」どちらの答えでもよいのだけれど、実際の秋田弁では、「い」はほぼ確実に省略される。その傾向を踏まえ、解答では「行ってだ」「寝でだ」「泣でだ」「してだ」の如く、皆「い」を省略してある。

　これで今回の方言学習は終わり。

　ではまた。まずな。

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お知らせ

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第84課：慣用表現②：熟語①

第85課：主な慣用表現③

第86課：主な慣用表現④：疑問詞を用いた慣用表現