秋田弁講座第7課：動詞①：「五段活用動詞①」
みなさん、こんにちは。
今回は、秋田方言講座第7回。秋田弁の五段活用動詞について勉強しますよ。
１．五段活用動詞とは？
標準語で、「書かない/書きたい/書く/書く時/書けば/書け」「刺さない/刺したい/刺す/刺す時/刺せば/刺せ」のように、末尾の母音が「未然/連用/終止/連体/仮定/命令」の順に、「-あ/-い/-う/-う/-え/-え」と活用する動詞のこと。
２．秋田弁の五段活用動詞の活用
五段活用動詞の活用は、秋田弁と標準語との間に違いはない。そして標準語で五段活用の動詞は、例外なく秋田弁でもみな五段活用動詞である。
以下、「A→B」の内、Aは標準語を、Bはそれに対応する秋田弁を表す。
五段活用動詞の例：
会う→会う 書く→書ぐ 刺す→刺す 立つ→立づ 死ぬ→死ぬ 等々
活用の具体例：
未然形：標準語の打消「-ない」をつけた形。皆ア段になるのが分かる。
会わない→会わねぁ 書かない→書がねぁ 立たない→立だねぁ 死なない→死なねぁ
連用形：標準語の希望「-たい」をつけた形。皆イ段。
会いたい→会いでぁ 書きたい→書ぎでぁ 立ちたい→立ぢでぁ 死にたい→死にでぁ
終止形：標準語の言い切りの形。皆ウ段。
会う→会う 書く→書ぐ 立つ→立づ 死ぬ→死ぬ
連体形：標準語の「-時」をつけた形。皆ウ段。「～とき」は秋田弁では「～づぎ」という。
会う時→会うづぎ 書く時→書ぐづぎ 立つ時→立づづぎ 死ぬ時→死ぬづぎ
仮定形：標準語の「-ば」をつけた形。皆エ段。
会えば→会えば 書けば→書げば 立てば→立でば 死ねば→死ねば
命令形：標準語の命令の形。皆エ段。
会え→会え 書け→書げ 立て→立で 死ね→死ね
説明：秋田弁語彙では「書ぐ」「立づ」のように、標準語で「く」「つ」等であったものが「ぐ」「づ」等と濁るなど、音が標準語と異なるものがある。その場合はその秋田弁の音のまま活用させる必要がある。注意はそこだけ。
練習問題１：次の()内の秋田弁を、直後の言葉に合う形に活用させてみよう。但し、「-ねぁ」は打消の「-ない」、「-てぁ/-でぁ」は希望「-たい」であり、(16)～(18)は命令である。
(1)俺ﾝだば(知る)ねぁ。(2)手紙も(書ぐ)ねぁ。(3)時間も(経づ)ねぁ。(4)本(読む)でぁ。(5)歌っこ(歌う)でぁ。(6)もー少し(待づ)でぁ。(7)人さ(会う)。(8)わんわんど(泣ぐ)。(9)早えぁぐ(死ぬ)。(10)(飛ぶ)鳥(11)(笑う)人(12)(待づ)人(13)(死ぬ)ば終わりﾝだ。(14)手紙っこ(書ぐ)ばいべ。(15)(泣ぐ)ば許してける。(16)もー少し(待づ)！(17)まず(座る)！(18)そろそろ(行ぐ)は。
３．例外な動詞「食う」の活用
秋田弁では、しばしば「食べる」と言わずに「食う」と言う。「食う」の活用は、例外的に標準語と違うので、独自に覚える必要がある。
未然形：食わない→食ゎねぁ
連用形：食い方→食い方 なお、秋田弁では普通「食う術[すべ]」と言う。
終止形：食う→食う/食[く]
連体形：食う時→食うづぎ/食[く]づぎ
仮定形：食えば→食ぅぇば
命令形：食え→食ぅぇ
説明：要は未然形が「食[く]ゎ[kwa]」になり、仮定・命令形も「食[く]ぅぇ[kwe]」という聞きなれない発音になる。終止形・連体形はしばしば「食[く][ku]」という。
練習問題２：次の()内の秋田弁を、直後の言葉に合う形に直してみよう。但し、(10)～(11)は命令文である。
(1)(食う)ねぁがった。(2)(食う)ねぁが？(3)(食う)散らがす。(4)(食う)過き゚る。(5)(食う)が？(6)(食う)人もいねぁ。(7)(食う)ものあるが？(8)早えぁぐ(食う)ばいべ。(9)皆[んな](食う)ば怒るべが？(10)早えぁぐ(食う)！(11)まま(食う)！
練習問題解答：
練習問題１：(1)知ら(2)書が(3)経だ(4)読み(5)歌い(6)待ぢ(7)会う(8)泣ぐ(9)死ぬ(10)飛ぶ(11)笑う(12)待づ(13)死ね(14)書げ(15)泣げ(16)待で(17)座れ(18)行げ
練習問題２：(1)食ゎ(2)食ゎ(3)食い(4)食い(5)食う/食(6)食う/食(7)食う/食(8)食ぅぇ(9)食ぅぇ(10)食ぅぇ(11)食ぅぇ
終わりに
以上にて、今回の秋田弁の勉強はおしまいです。
それでは、今回はこの辺で。へばな。
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