秋田弁講座第10課:動詞④:「変格活用」
みなさん、こんにちは。
今回は、秋田方言講座第10回。秋田弁の変格活用動詞、すなわち不規則動詞を勉強しますよ。
1.カ行変格活用の①カ行変格活用とは?
カ行変格活用は、動詞「来る」の活用のこと。動詞「来る」は、五段活用でも上下一段活用でもない独自の活用の仕方をする。だから「変格活用」と呼ばれるわけである。「来る」以外に、この活用をするものはいない。
本著では、カ行変格活用は以下「カ変」と略することとする。
②カ変動詞の活用
秋田弁のカ変は、仮定形と命令形だけは標準語とは違う形を持つ。それ以外は完全に標準語と一致する。したがって仮定・命令の二形だけ覚えれば問題ないだろう。
未然形:来[こ]ない→来[こ]ねぁ
連用形:来[き]たい→来[き]てぁ
終止形:来[く]る→来[く]る
連体形:来[く]る時→来[く]るづぎ
仮定形:来[く]れば→来[こ]れば/来[こ]えば/来[こ]ば
命令形:来[こ]い→来[こ]い/来[け]
練習問題1:次の()内の秋田弁を、後の語に合わせて活用させてみよう。なお、(11)以降は命令形に活用させること。
(1)客(来る)ねぁごど。(2)誰も(来る)ねぁがった。(3)人(来る)た。(4)客(来る)ても対応さねぁ。(5)客(来る)。(6)夏(来る)。(7)(来る)人もいねぁ。(8)(来る)づぎ持って来てけれ。(9)客(来る)ば儲がる。(10)夏(来る)ば温[の]ぎして大変だ。(11)こごさ(来る)!(12)呼んで(来る)!
2.サ行変格活用の①サ行変格活用とは?
サ行変格活用とは、動詞「する」及びその派生語の活用のこと。動詞「する」及びその派生語は、五段でも上下一段活用でもない独自の活用の仕方をするので、変格活用と呼ばれる。本著では、サ行変格活用は以下サ変と省略して呼ぶこととする。
②「する」の派生語
②「する」の派生語
動詞「する」は、標準語であれ秋田弁であれ、「漢語+する」「外来語+する」「擬態語+する」などの形で、無数の派生語を作り出す。「する」の派生語とは、こうして作られた動詞のことである。
漢語の例:我慢する 心配する 贅沢する
外来語の例:メモする サインする メールする
擬態語の例:わぐわぐする どぎどぎする びぐびぐする
③サ変動詞の活用
秋田弁のサ変は、未然形・仮定形・命令形以外は、すべて標準語の活用と完全に一致する。したがって未然・仮定・命令の三形に焦点を絞って覚えるようにすればいい。
未然形:しない→さねぁ 我慢しない→我慢さねぁ
連用形:したい→してぁ 我慢したい→我慢してぁ
終止形:する→する 我慢する→我慢する
連体形:する時→するづぎ 我慢する時→我慢するづぎ
仮定形:すれば→すれば/せば 我慢すれば→我慢すれば/せば
命令形:しろ→すれ/せ 我慢しろ→我慢すれ/せ
練習問題2:次の()内の秋田弁を、後の語に合わせて活用させよう。但し、(11)以降はみな命令形にすること。
(1)なんも(する)ねぁ。(2)(我慢する)ねぁ。(3)(緊張する)た。(4)(サインする)てけれ。(5)一所懸命(勉強する)。(6)(わぐわぐする)。(7)なにが(する)ごどあるが?(8)なも(辛抱する)必要ねぁ。(9)(メモする)ば忘れねぁべ。(10)(祈願する)ば大丈夫ンだ。(11)まず(辛抱する)!(12)朝間に(メールする)!(13)行ぐに(する)行がねぁに(する)、やるごとあって大変だ。(14)いずれに(する)頑張らねぁばならねぁ。
練習問題解答:
練習問題1:(1)来[こ](2)来[こ](3)来[き](4)来[き](5)来る(6)来る(7)来る(8)来る(9)来[こ]え(10)来[こ]え(11)来[こ]い(12)来[こ]い
解説:(9)(10)は来[こ]れ/来[こ]、(11)(12)は来[け]でもよい。
練習問題2:(1)さ(2)我慢さ(3)緊張し(4)サインし(5)勉強する(6)わぐわぐする(7)する(8)辛抱する(9)メモすれ(10)祈願すれ(11)辛抱すれ(12)メールすれ(13)すれ・すれ(14)すれ
解説:(9)以降の「すれ」は、皆「せ」でも正解である。
終わりに
以上にて、今回の勉強もおしまいです。
それでは、今回はこの辺で。へばな。
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- 第65課:名詞②
- 前回に引き続き、秋田弁のやや特殊な名詞についての勉強です。
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