第21課：助動詞⑩：比況「のようだ」
みなさん、おひさしぶりです。
齶田浦です。
今回は、標準語の「のようだ」にあたる秋田弁を学習しますよ。
１．秋田弁の「のようだ」
標準語の比況「のようだ」は、秋田弁では「みでぁんだ」と言う。
２．「みでぁんだ」の活用
「みでぁんだ」は、形容動詞と同じ活用の仕方をする。
連用形１：「のように」→「みでぁに」。「みでぁんに」とは何故か言わない。
犬のように吠える。→犬みでぁに吠える。
連用形２：「のようで」→「みでぁんで」
犬のようでうるさい。→犬みでぁんでうるせぁ。
連用形３：「のようであっ」→「みでぁんであっ」
犬のようであった。→犬みでぁんであった。
終止形：「のようだ」→「みでぁんだ」
まるで犬のようだ。→まるﾝで犬みでぁんだ。
連体形：「のような」→「みでぁんだ」
犬のような顔。→犬みでぁんだ顔。
仮定形：「のようなら」→「みでぁんだら」。仮定の「ば」は付けない。
お前のようならよかったのに。→お前ぁみでぁんだらいがったあじ。
補足：「のようなら」→「みでぁんだ」とも。但しこの場合は必ず仮定の「ば」を直後に付ける。「のようならば」→「みでぁんだば」という対応関係。
お前のようならばよかったのに。→お前ぁみでぁんだばいがったあじ。
練習問題１：次の()内の標準語を、秋田弁にしてみよう。
(1)(花のように)綺麗ﾝだ顔(2)こんだ良ー嫁っこもらって、(夢のようで)ねぁが？(3)あの怒った顔、まるﾝで(鬼のようであっ)た。(4)可憐でまるﾝで(花のようだ)。(5)(夢のような)楽し生活(6)人の生活も(猫のようなら)気ままﾝでいがったべな。(7)(猫のようなら)ば気ままﾝでいがったべな。
３．「この/その/あの/どの‐ような」
「この/その/あの/どの‐ような」は、「こんだ/そんだ/あんだ/なんだ-えんだ」と言う。
このような失敗をした。→こんだえんだ失敗した。
そのようなことはない。→そんだえんだごどねぁ。
あのような人にはなるなよ？→あんだえんだ人にﾝだばなるなや？
どのような願い事をした？→なんだえんだ願い事した？
補足：派生して、「この/その/あの/どの-ように」は、「こんだ/そんだ/あんだ/なんだ-えに」と言うようだ(注意参照)。
このように言った。→こんだえに言った。
そのようにしよう。→そんだえにするべ。
あのようになる。→あんだえになる。
どのように言えばよかったのだろう。→なんだえに言えばいがったあんだべ。
練習問題２：次の()内の標準語を秋田弁にしてみよう。
(1)(このような)人(2)(どのような)ごどもする。(3)(あのような)失敗(4)(そのような)ごどﾝだば俺ら言わねぁ。(5)(どのように)言えば良べ？(6)(このように)言えば悪りたって…。(7)(そのように)怒るがら嫌われるあんだ。(8)お前ぁも(あのように)笑え。
注意：「こんだ/そんだ/あんだ/なんだ-えに」は実際に本当にそう言うか微妙な表現！
実は「こんだ/そんだ/あんだ/なんだ-えに」については、実際に使用されるか不明である。
私が実際に耳にしたのは、「あんだえなって」＝「あのようになって」の一例だけだし、その他の秋田方言の辞書にも、かろうじて『語源探求 秋田方言辞典』(中山健編著,語源探求 秋田方言辞典刊行委員会発行,2001年12月15日)のp604に「したえに」＝「そのように」の1例が見られるだけである。「した」は、「すった」＝「そった」＝「そんだ」。
実際の生活では、「こんだ/そんだ/あんだ/なんだ-えに」ではなく単に「こー」「そー」「あー」「なんと」と言うことの方が、比べるのも馬鹿らしいくらい圧倒的に多いのである。
こんだえに言った。→こー言った。
そんだえにするべ。→そーするべ。
あんだえになる。→あーなる。
なんだえに言えばいがったあんだべ。→なんと言えばいがったあんだべ。
練習問題解答：
練習問題１：(1)花みでぁに(2)夢みでぁんで(3)鬼みでぁんであっ(4)花みでぁんだ(5)夢みでぁんだ(6)猫みでぁんだら(7)猫みでぁんだ
練習問題２：(1)こんだえんだ(2)なんだえんだ(3)あんだえんだ(4)そんだえんだ(5)なんだえに(6)こんだえに(7)そんだえに(8)あんだえに
おわりに
以上にて、今回の秋田方言の学習はおしまいです。
それではまた今度。へばなー。
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- 第60課：感動詞④
- 感動詞４回目。例の如く秋田弁標準語変換翻訳を通じて学習。
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- 特殊用言「んだ」について勉強しましょう。
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- 秋田弁の接続詞の勉強です。
- 第63課：接続詞②
- 前回に引き続き、秋田方言の接続詞についてあつかいます。
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- 前回に引き続き、秋田弁のやや特殊な名詞についての勉強です。
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