第33課：可能表現④：属性可能
みなさんこんにちは。
今回は、可能表現の４回目。秋田弁の属性可能表現について勉強するすよー。
１．属性可能とは？
属性可能とは、「この魚は食べられる」とか「軟水は飲むことができる」とかいうように、「事物は(その性質的に)～することができる」という意味を表す可能表現のことである。
秋田弁の場合は、属性可能は状況可能と全く同じ表現形式を取ることになるので、実質的には能力可能表現と状況可能表現の二つだけ覚えればよい。難しく考えるなかれ。
参考：属性可能表現の主語と動詞の関係
この属性可能表現においては、主語の「事物」は動作「～する」の対象となる。例えば、「この魚は食べられる」の場合、「(この)魚」は動作「食べる」の対象だし、「軟水は飲むことができる」の場合も、「軟水」は動作「飲む」の対象である。
２．秋田弁の属性可能
秋田弁で属性可能を表現するには、状況可能表現と全く同じ「～に良[い]」という形式を使う。状況可能の打消を表現したい場合も、状況可能と同じで「未然形＋れねぁ/られねぁ」の形式を使うことになる。
この水は飲むことができる。→この水飲むにい。
この山菜は毒があって食われない。→この山菜ﾝだば毒あって食ゎれねぁ。
月は昼には見られない。→月は昼間にﾝだば見られねぁ。
練習問題１：次の()内の秋田弁を、属性可能表現(肯定形)にしてみよう。
(1)このきのご(食う)あんだが？(2)この歯ブラシまﾝだ(使う)が？(3)軟水ﾝだば(飲む)。(4)干し肉ﾝだば保存(する)。
練習問題２：次の()内の秋田弁を、属性可能表現(否定形)にしてみよう。
(1)毒きのごﾝだば(食う)。(2)この歯ブラシあど(使う)べが？(3)硬水ﾝだば(飲む)。(4)生肉ﾝだば保存(する)。
３．秋田弁の属性可能の活用
秋田弁の属性可能表現は、秋田弁の状況可能表現と全く同じ形式を使うことは上に述べた通りである。
したがって活用の仕方も、みな状況可能表現と完全に一致する。
状況可能肯定：「連体形＋に＋い」
連用形１：この水飲むにいぐなる
連用形２：この水飲むにいがった
補足①：この水飲むにいして
補足②：この水飲むにいっても
終止形：この水飲むにい
連体形：この水飲むにいづぎ
仮定形：この水飲むにいば
状況可能否定：「未然形＋れねぁ/られねぁ」
連用形１：この水飲まれねぁぐなる この魚食べられねぁぐなる
連用形２：この水飲まれねぁがった この魚食べられねぁがった
補足①：この水飲まれねぁして この魚食べられねぁして
補足②：この水飲まれねぁっても この魚食べられねぁっても
終止形：この水飲まれねぁ この魚食べられねぁ
連体形：この水飲まれねぁづぎ この魚食べられねぁづぎ
仮定形：この水飲まれねぁば この魚食べられねぁば
練習問題３：次の()内の標準語を、属性可能表現を用いた秋田弁にしよう。
(1)腐って肉(食べられなく)なった。(2)当時の果物ﾝだばおが苦け゚ぁして(食べられなかった)。(3)(飲むことができない)ものどご無理して飲んだがら病気なったあんだ。(4)これもあのづぎﾝだばまﾝだ新鮮で(食うことができた)あじな。(5)毒抜げばふく゚も(食うことができるように)なる。(6)果物さﾝだば、(食べることができる)時期ど(食べることができない)時期どか゚あるあんだ。(7)(食べることができる)毒きのごあるもんだってげぁ？(食べることができれ)ば「毒」って言わねぁべしゃ、そもそも。
練習問題解答：
練習問題１：(1)食うにい(2)使うにい(3)飲むにい(4)するにい
練習問題２：(1)食ゎれねぁ(2)使われねぁ(3)飲まれねぁ(4)されねぁ
練習問題３：(1)食べられねぁぐ(2)食べられねぁがった(3)飲まれねぁ(4)食うにいがった(5)食うにいぐ(6)食べるにい・食べられねぁ(7)食べるにい・食べるにい
終ぁに
以上にて今日の秋田方言の学習も終わりだす。
へばまだ今度。へばなー。
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