代名詞①「人代名詞」及び複数を表す接尾語
みなさんこんにちは。
こちらのページでは、近代秋田方言に対応する現代秋田弁について解説していきます。
対応する近代秋田方言の学習内容は、こちらのページとなります。近代の方を確認したい場合はそちらをご覧ください。
現代秋田弁人代名詞①
それではさっそく、現代秋田弁の方の勉強に入りたいと思います。
近代秋田方言の方の記事で揚げた人代名詞の表に合わせて、現代秋田弁(私の住む秋田市限定)の人代名詞の一覧を示すと、以下のようになります。
―現代秋田弁人代名詞一覧①―
秋田方言 |
標準語 |
|
自称 |
俺[おれ] |
私/僕/俺/うち |
対称 |
前[め] |
君/お前/あんた |
対称(軽い敬称) |
貴方[あだ] |
あなた |
対称(蔑称) |
汝[んが] |
てめぇ |
他称(近称) |
これ |
こいつ/彼/彼女 |
他称(中称) |
これ/あれ |
そいつ/彼/彼女 |
他称(遠称) |
あれ |
あいつ/彼/彼女 |
他称(不定称) |
誰[だれ] |
誰 |
上の表のうち、他称(中称)の「これ/あれ」とは、要するに、話者がその人を「あれ」と言うほどの距離にいると判断するのか、それとも「これ」と言うくらいの距離にいると判断するのか、その違いによって「あれ」か「これ」どちらかで表現するというだけの話です。
つまり、現代秋田弁の人代名詞においては、中間を表す言葉なんてありません。近いと判断すればこれと言い、遠いと判断すればあれと言い表す。ただそれだけです。
また、上の表のうち、「汝」は実際には普通使われません。今使うとすればよっぽど酷い喧嘩をして人を罵る時くらいですかね。
ブチ切れた学校の教師とか人を怒鳴りつける時のチンピラ風の学生とかが使うのしか聞いたことないです。うちの祖母はブチ切れても使いませんね。市内でも地域差があるのかもしれません。
ってゆーかどのみち秋田市あたりだと、標準語の「てめぁ」みたいな超喧嘩腰兼ぞんざいな言い方ですので、「汝」はあっても絶対使わない方いいっすよ。品格が疑われます。トラブルの原因にもなりかねません。百害あって一利なしってやつっす。気を付けましょう。
現代秋田弁人代名詞②
ちなみに、同じ秋田市・秋田弁話者においても、上の表とは違った人代名詞が聞かれることもあります。併用される言葉は以下の通りです。
―現代秋田弁人代名詞一覧②―
秋田方言 |
標準語 |
|
自称 |
俺ら[おら] |
私/僕/俺/うち |
対称 |
ん前[んめ] |
君/お前/あんた |
対称 |
お前[おめ] |
君/お前/あんた |
これらの言葉は、併用される「俺」「前ぁ」との違いは特にありません。特別なニュアンスの違いなども皆無。ただのヴァリエーションアップに貢献してるだけの言葉ですね。まぁついでに覚えておけばいいのではないでしょうか。うわぁ、我ながら適当な言い草…
現代秋田弁の複数を表す接尾語
さて、今度は現代秋田弁の複数表す接尾語っすね。秋田市辺りだとこれは一つしかありません。すなわち、近代秋田方言にもあったあの言葉…ずばり、「がだ」です。
「俺がだ」「俺らがだ」「前がだ」「ん前がだ」「お前がだ」「あれがだ」「これがだ」「子供がだ」「先生がだ」などと使います。
ついでに「人々」は「人がだ」と言います。
なお、近代の方がどうであったかはわかりませんが、現代秋田弁だと「がだ」は物や動物に対してすら使います。
「ティッシュがだ」「そごの鼻紙がだ」「トンボがだ」「犬がだ」「それく゚だ」「キノゴがだ」等等、複数であることを「明示」したい時なら人・物・獣の別なく使われているのが実情です。
…まぁ逆に言えば、別に複数だと明示する意図がない多くの文脈においては、物や動植物に対しては「がだ」は使わないんですけどね。人の場合は特別明示の意図がなくても現実に複数なら必ず使いますが…。
以上で、現代秋田弁の人代名詞、及び複数を表す接尾語についての勉強はおしまいです。
いかがでしたでしょうか。方言といえば訛りや独特の単語にばかり目がいきがちですが、こうして表などにすると立派に一個の「言語」に見えてきてしまうから不思議なものです。
今後もこんな感じで、方言にも綺麗にまとまった言語体系ってのがあるんだぞ~ってことをさり気なくアピールしていくつもりですので、悪しからず。
それでは今回はこの辺で。へばなー。
本課と対応する内容の近代秋田方言の記事:こちらとなります。
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