秋田方言・秋田弁発音講座

追記2:接頭辞・接尾語と発音変化

秋田方言・秋田弁発音講座追記2:接頭辞・接尾語と発音変化

 みなさん、こんにちは、齶田浦です。

 

 今回は、2度目の追記ですね。接頭辞・接尾語が単語についた時は、発音はどうなるのか、今回はそれについて勉強したいと思います。

1.接頭辞・接尾語とは?

 接頭辞とは、単語の頭、つまり語頭について様々な意味を賦与する品詞のことです。

 

 例えば、「お客さん」「ご近所」「ふっとばす」「かっとばす」「ひっぱたく」の「お」「ご」「ふっ」「かっ」「ひっ」等がこれに当たりますね。

 

 このうち、一定のルールの上で運用すれば無限に新しい単語を作り出せるタイプの接頭辞は、敬譲の接頭辞「お」と「ご」だけですね。

 

 以後、当サイトで接頭辞と言った場合、こういった無限に新しい単語を作ることができるもののみを指すものとします。何故って?それ以外は単語の問題と捉えた方が楽だからさ。

 

 さてさて話が逸れそうになったところで次に行きましょう。ズバリ接尾語の話ですね。

 

 接尾語とは、単語の一番後ろ、すなわち語尾について様々な意味を添加する品詞のことです。

 

 例えば、「お客さん」「お月さま」「太郎くん」「犬っこ」「子猫ちゃん」「私たち」の「さん」「さま」「くん」「っこ」「ちゃん」「たち」がこれに当たります。接尾語の場合は、いずれも、組み合わせ次第で無限に新しい単語を生み出せます。

 

 接頭辞と接尾語の説明は、以上です。どんな品詞なのか、大体わかっていただけましたでしょうか。いただけたら幸いでございます。

2.接頭辞・接尾語と発音変化

 さて、接頭辞と接尾語のイメージがつかめたところで本題に入りましょう。

 

 すなわち、接頭辞や接尾語が前後についた時、単語の発音はどうなるのか、という問題について説明していきたいと思います。

 

結論:以下の手順にて、接尾語・接頭辞付きの秋田弁を得る

 

A.接頭辞を付ける際の発音変化手順

①「秋田方言語彙」(単語と接頭辞両方)を求める。
②「秋田弁接頭辞+秋田方言単語」の形にする。
③「秋田方言単語」の語頭が「カ行・ガ行・タ行・チャ行・ツァ行」だった場合、濁音・鼻濁音化させる。すなわち、それぞれ「ガ行・カ゚行・ダ行・ヂャ行・ヅァ行」にする。

備考:カ行・ガ行・タ行・チャ行・ツァ行」とはこれすなわち、秋田弁の単語で第二音節以下にある場合必ず濁音・鼻濁音になるグループのことですね。忘れていた人は、カ行とかタ行の勉強した時のことを思い出しましょう。

 

具体例:
例1:「お客」

①秋田弁語彙は「お」「きゃぐ」
②そのまま繋げると「お-きゃぐ」となる。
③秋田弁単語「きゃぐ」の語頭はカ行の音である。故に濁音化させて「おぎゃぐ」となる。

 

例2:「ご近所」

①秋田弁語彙は「ご」「きんじょ」
②そのまま繋げると「ご-きんじょ」
③秋田弁単語「きんじょ」の語頭はカ行の音である。故に濁音化させて「ごぎんじょ」となる。

 

例3:「お茶」

①秋田弁語彙は「お」「ちゃ」
②そのまま繋げると「お-ちゃ」
③秋田弁単語「ちゃ」の語頭はチャ行の音。故に濁音化させ「おぢゃ」となる。

 

例4:「お天気」

①秋田弁語彙は「お」「てんき」
②そのまま繋げると「お-てんき」
③秋田弁単語「てんき」の語頭はタ行の音。故に濁音化し「おでんき」となる。

 

 …とまぁこんな感じですね。分かりましたでしょうか?秋田弁の接頭辞は、せいぜい上記のような敬譲「お」「ご」があるくらいなので、覚えるのもそう苦労しないかと思いますよ。

 

B.接尾語を付ける場合の発音変化手順
(1)接尾語の語頭が、ガ行以外の濁音行又は鼻濁音カ゚行である時

①「秋田方言語彙」を求める(単語と接尾語両方)。
②「秋田方言単語+秋田方言接尾語」の形にする。
③「秋田方言単語」の語尾の母音を鼻母音に変化させる。

備考1:「ガ行以外の濁音行又は鼻濁音カ゚行」とは、要するに秋田弁の単語において、直前の音節を鼻母音に変化させる音のことですね。
備考2:ダ行音は、単語によっては直前の音を鼻母音にしないものもありますが、秋田弁本来の語彙の中にある接尾語に関しては、ダ行で始まるものはみな前の音を鼻母音に変えます。標準語からの借用「だぢ[達]」とかだと、鼻母音にしないので(3)のルールに従う必要がありますが。

 

具体例
例1:「お前ぁだ[お前たち]」

①秋田弁語彙は「おめぁ」「だ」
②繋げると「おめぁだ」
③接尾語語頭が濁音行ダ行なので、前の音節「めぁ」を鼻母音にして接尾語付き秋田弁語彙「おめぁンだ」の完成。

 

例2:「お前ぁびら」

①秋田弁語彙は「おめぁ」「びら」
②繋げると「おめぁびら」
③接尾語語頭が濁音行バ行なので、前の音節「めぁ」を鼻母音化して接尾語付き秋田弁語彙「おめぁンびら」の完成。

 

例3:「お前ぁか゚だ」

①秋田弁語彙は「おめぁ」「か゚だ」
②繋げると「おめぁか゚だ」
③接尾語語頭が鼻濁音行「カ゚行」なので、直前の音節「めぁ」を鼻母音に変えて、接尾語付き秋田弁語彙「おめぁンか゚だ」の完成。

注意:なお、秋田弁では、「か゚だ」は「がだ」とも言います。「がだ」の場合はガ行なので、特に発音の変化はありません。

 

(2)接尾語の語頭が、清音である時

①「秋田方言語彙」を求める(単語&接尾語両方)。
②「秋田方言単語+秋田方言接尾語」の形にする。これで完成。
③ただし、「秋田方言単語」の語尾が、「ぎぐぢづぎゅ」「しすひふぴぷしゅ」の時は、「秋田方言単語」の語尾は「きくちつきゅ」「しすひふぴぷしゅ」と無声母音の清音になる。

 

具体例
例1:佐藤さん

①秋田弁語彙は「さどー」「さん」
②そのまま繋げて接尾語付き秋田弁語彙「さどーさん」の完成。

 

例2:茶碗っこ

①秋田弁語彙は「ちゃわん」「っこ」
②そのまま繋げて接尾語付き秋田弁語彙「ちゃわんっこ」の完成。

 

例3:初ちゃん

①秋田弁語彙は「はづ」「ちゃん」
②そのまま繋げると「はづちゃん」
③秋田弁単語「はづ」の語尾が「づ」なので、(2)③の例外規則により、清音化+無声母音化して「づ」が「つ」になる。かくして接尾語付き秋田弁語彙「はつちゃん」が得られる。

 

例4:蠅叩きっこ

①秋田弁語彙は「はえ-ただぎ」「っこ」
②そのまま繋げると「はえただぎっこ」
③秋田弁単語「はえ-ただぎ」の語尾が「ぎ」なので、(2)③の例外規則に従い、清音化+無声母音化して「はえただき」になる。かくして接尾語付き秋田弁語彙「はえただきっこ」

備考:「はえたたき」は、「はえ-たたき」という複合語なので、秋田弁の単語としては、「はえ」「ただぎ」を繋げた発音「はえ-ただぎ」となるわけです。

 

例4:虫っこ

①秋田弁語彙は「むし」「っこ」
②そのまま繋げると「むしっこ」
③秋田弁単語「むし」の語尾が「し」なので、無声母音化する。かくして接尾語付き秋田弁語彙「むしっこ」が完成する。

 

(3)(1)にも(2)にも当てはまらない場合

①「秋田方言語彙」を求める(単語&接尾語)。
②「秋田方言単語+秋田方言接尾語」の形にする。これにて完成。

 

具体例
例1:俺がだ

①秋田弁語彙は「おれ」「がだ」
②そのまま繋げて接尾語付き秋田弁語彙「おれがだ」の完成。

説明:複数を表す「がだ」は、人により地方により、「か゚だ」とも「がだ」とも言います。当サイトでは、私の家の発音を基準にしていますので、実際の文では、濁音「がだ」の方を使うようにしています。

 

例2:俺だぢ

①秋田弁語彙は「おれ」「だぢ」
②そのまま繋げて接尾語付き秋田弁語彙「おれだぢ」の完成。

説明:ダ行・ヂャ行・ヅァ行の中には、前の音節を鼻母音に変えないものもあります。それらは概ね標準語においてタ行・チャ行・ツァ行だったものと相場が決まっております。そういう鼻母音に変えないタ行・チャ行・ツァ行は、(1)ではなく、この(3)の規則に従いますのでご留意願います。まぁそんな接尾語は、そうそうない気がしますが。

おわりに

 以上にて、今回の追記もおしまいです。

 

 接頭辞・接尾語は、正直、第10課の「文の発音」とどっこいのめんどうくささがあるため、あまり書きたくはなかったのですが、まぁここまで来たからにはとりあえず書いてはおきます。

 

 ちゃんと読まれるかどうかは分かりませんけどね。かなり面倒な規則ですし。

 

 ともあれ、みなさま、おつかれさまでした。

 

 それでは、今回はこの辺で。へばなー。

 

 

 

 

関連ページ

第1課:母音
このページでは、秋田弁の母音について勉強していきます。
第2課:無声母音
このページでは、『秋田方言』の音韻篇を参考に、秋田弁の発音について勉強していきます。
第3課:鼻母音
このページでは、『秋田方言』の音韻篇を参考に、秋田弁の発音について勉強していきます。
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このページでは、『秋田方言』の音韻篇を参考に、秋田弁の発音について勉強していきます。
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このページでは、『秋田方言』の音韻篇を参考に、秋田弁の発音について勉強していきます。
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このページでは、『秋田方言』の音韻篇を参考に、秋田弁の発音について勉強していきます。
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追記1:鼻母音の発音方法
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第10課:文の発音
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最終課:秋田方言文字表記法
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