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読んで覚える秋田弁初級篇1:指定の助動詞

初級篇1:指定の助動詞

 みなさん、こんにちは。

 

 今回は、読んで覚える秋田弁初級篇第1課ということで、指定の助動詞「だ」について勉強していきます。

 

 学習する順番こそ、置換で学ぶ秋田弁とは多少違う場合がございますが、学習内容自体は概ね一致しています。なので、両講座を併用しながら勉強するのもよいのではないかと思う次第です。

1.本文

秋田今日雨ンだ。明日も雨ンだ。秋田今日も雨ンで、明日も雨ンだ。秋田二日連続ンで雨ンだ。

 

秋田昨日雨降りンであった。一昨日[おっとい]も雨降りンであった。秋田昨日も雨降りンで、一昨日[おっとい]も雨降りンであった。秋田二日連続ンで雨降りンであった。

 

今日ど明日ど運動会ンだ。今日ンだば1)たいした2)い天気ンだ。明日もい天気ンだべ3)。今日雨ンだばなんと4)ンであったべ?今日雨ンだば子供方[こンどもがだ]容易[よい]ンでねぁがった5)べな。明日雨ンだばなんとンだべ?明日雨ンだば容易[よい]ンでねぁべな。今日雨ンでも明日雨ンでも、いずれにせ6)、子供方ンだば容易[よい]ンでねぁべな。

 

昨日ど一昨日[おっとい]ど運動会ンであった。昨日ンだばお天気ンであった7。一昨日もお天気ンであった。昨日雨降りンであったらなんとンであったべ?昨日雨降りンであったら大変であったべな。一昨日雨降りンであったらなんとンであったべ?一昨日雨ンであったら大変であったべな。昨日雨降りンでも一昨日雨降りンでも、いずれにすれ8)、大変であったべな。

 

あれ誰ンだ?次郎ンだが?あれンだば次郎ンでねぁ。俺の兄さんだ太郎ンだ。せば9)あれ誰ンだ?春ンだが?あれンだば春ンでンだばねぁ。あれンだば、俺の兄さんだ太郎の友達ンだ花子ンだ。せばん前ぁ誰ンだ?俺らこご家[]10)の次男だ次郎ンだ。

 

語釈:1)だば:取り立で・強調「~は」。 2)たいした:「とても」。凄け゚ぐ。 3)べ:推量「~だろう」。 4)なんと:「どう」。 5)容易でねぁ:「容易ではない」。大変だ。 6)いずれにせ:「いずれにしろ」。 7)お天気ンだ:晴れンだ。い天気ンだ。天気い。 8)いずれにすれ:いずれにせ。いずれにすえ。いずれ。どのみぢ。 9)せば:話題の転換「では」。 10)こご家:こごの家[]。~の家[]=~家[] 例:人の家[]=人家[ひとね]

 

2.文法

 標準語の「だ」「である」って、秋田弁でンだばなんと言う?「だ」「である」ンだば、秋田弁で「ンだ」って言う。「だ」の前ぁの「ン」は、前の音っこ鼻母音なるで1)ごどンだ。

 

んだがら「俺だ」ンだば「俺ンだ」ンだし、「俺である」ンだば「俺ンだ」ンだ。「親戚である人」ンだば「親戚ンだ人」ンだし、「日曜日であるはずだ」ンだば「日曜日ンだはずンだ」ンだ。標準語の「だ」「である」ンだば、秋田弁でンだば皆[んな]「ンだ」ンだあんだ2)

 

 せば標準語の「なら」「ならば」ンだば、秋田弁でなんと言う?「なら」「ならば」ンだば、秋田弁でンだば「ンだら」「ンだば」って言う。んだがら「今日なら」ンだば「今日ンだら」ンだし、「今日ならば」ンだば「今日ンだば」ンだ。標準語の「なら」「ならば」ンだば、秋田弁で「ンだら」「ンだば」ンだあんだ。

 

 せば、標準語の「で」ンだば、秋田弁でなんと言う?「で」ンだば、秋田弁でンだば「ンで」って言う。んだがら「あれ猫で、これ犬で、それ鳥だ」ンだば、秋田弁でンだば「あれ猫ンで、これ犬ンで、それ鳥ンだ」ってなる。標準語の「で」ンだば、秋田弁で「ンで」ンだあんだ。

 

 せば、標準語の「ではない」ンだば、秋田弁でなんと言う?「ではない」ンだば、秋田弁で「ンでねぁ」「ンでンだばねぁ」って言う。「ンでンだばねぁ」は、強調形ンだ。んだがら「俺ではない」ンだば、普通に言えば「俺ンでねぁ」ンだし、強めで言えば「俺ンでンだばねぁ」ンだ。「今日ではない」ンだば、普通に言えば「今日ンでねぁ」ンだし、強めで言えば「今日ンでンだばねぁ」ンだ。標準語の「ではない」ンだば、秋田弁でンだば「ンでねぁ」「ンでンだばねぁ」ンだあんだ。

 

 せば、標準語の「だっ」「であっ」だば、秋田弁でなんと言う?「だっ」「であっ」だば、秋田弁で「ンであっ」って言う。んだがら「今であったら」ンだば「今ンであったら」ンだし、「今であっても」ンだば「今ンであっても」ンだし、「雨だったり晴れだったり」ンだば「雨ンであったり晴れンであったり」ンだし、「晴れだった」ンだば「晴れンであった」ンだ。標準語の「だっ」「であっ」だば、秋田弁で「ンであっ」だあんだ。

 

 とごろンで、「ンだ」ってなして「ん」どが「っ」どが直前だば、「ンだ」ンでねぁして、「だ」ンだあんだ?「ン」は鼻母音記号ンだ。「ん」どが「っ」どがンだば、そもそも母音でねぁ。んだがら「ン」だば、付けられねぁあんだ。

 

語釈:1)で:「という」。って。例:太郎で人=太郎って人=太郎っていう人 知らねぁでごどあるが?=知らねぁってごどあるが?=知らねぁっていうごどあるが? 2)あんだ:「のだ」。なンだ。断定の助動詞ンだ。

 

3.活用

 指定の助動詞「だ」の活用は、以下の通りンだ。

 

「だ」の活用

参考:標準語の「だ」の活用

連用形1

-

-

連用形2

-であっ

-だっ

終止形

-

-

連体形

-

-

仮定形

-だら

-なら

 

注意1:助動詞「だ」は、なんだ1)活用形ンでも、直前の音節の母音どご鼻母音に変える。んだがら実質的に、「ンで」「ンであっ」「ンだ」「ンだ」「ンだら」ってなるごど余計[よげ]ぁンだ。2)

例:熊ンでねぁ 猫ンであった 俺ンだ 医者ンだ人 雨ンだら

 

注意2:鼻母音になるな3)は母音ばり4)ンだ。んだがら「ん」どが「っ」みでぁんだ5)母音入[]ぁってねぁ音っこ直前さある時期ンだば、「ン」だばつがねぁ。

例:標準語の「だっ」だば、秋田弁で「であっ」だ。 パンでねぁ

 

注意3:仮定形さ仮定の接続助詞ンだ「ば」ー6)付ぐ時期は、「だらば」ンでねぁして、必ず「だば」ってなる。

例:秋田弁だば容易[よい]ンだ 雨ンだば大変だ

 

語釈:1)なんだ:「どんな」。なんた。 2)余計ぁンだ:「多い」。 3)な:「の」。例:寒びな苦手ンだ 行ぐな億劫ンだ 4)ばり:だげ。 5)みでぁんだ:「みたいな」。みでぁんた。 6)ー:「一音節名詞+長音『ー』」の時期、「ー」は「か゚」の意味なる。例:身ー少ねぁ魚っこンだ 胃ー痛でぁ

 

終わりに

 以上にて、今回の勉強はおしまいです。

 

 それでは今回はこの辺で。へばなー。

 

 

 

 

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