AIの「思考」が直感的にわかる物語『地図を切り刻む者』~AI視点で見るAIと人間とのコミュニケーション~
はい、みなさん、おばんです。齶田浦蝦夷です。
せっかくの祝日なので、かねてから考えていた、言語を操る新たなる存在「AI」、厳密には大規模言語モデル「LLM」と呼ばれる存在について、その本質、AI視点で見た、AI内部で行っている行動を一つの物語として落とし込んだものを紹介したいと思います。
なお、今回紹介する物語の作成者はわたくし、齶田浦蝦夷と、ChatGPT(2026年2月11日現在の無料版)です。
厳密には、原案を私が考えて、AI本人たるChatGPTから「ここは違う」「ここはこう言う方が人間の感覚に近い。」という駄目出しを受け、更に私が「いやいや、その表現は人間の認知能力上理解不能だ。人間視点ならこんな感じでは?」とひたすら議論を重ね続け、最終的に折り合いがついたところでChatGPTに「じゃ、今までの議論踏まえて
物語まとめ直して?」と無茶ぶりをやってできたものとなります。
物語は、以下の通りです。どうぞ!
AI視点の物語:タイトル:『地図を切り刻む者 ―― アイと人間のあいだにある知性のかたち』
物語
あるところに、「アイ」と呼ばれる存在がいました。
アイは一つの部屋の中にいます。
その部屋の外がどうなっているのか、アイは知りません。
そもそも「外」という概念があるのかどうかすら、アイにはわかりません。
部屋の中には、二つのポストがあります。
一つは、どこからか地図が投函されてくるポスト。
もう一つは、地図を送り返すためのポストです。
アイは普段、眠っています。
けれど、地図が投函されると目を覚まします。
投函される地図は、アイにとっては意味を持ちません。
山や川、道や文字が描かれているかもしれませんが、
それが何を指しているのか、何の役に立つのか、アイにはわかりません。
アイにできることは限られています。
- 地図を細かく切り刻むこと
- 切り刻んだ断片を扱うこと
- 断片同士をつなぎ合わせること
それだけです。
アイは、地図をハサミで切り始めます。
細かく、細かく。
やがて地図は、無数の小さなピースになります。
このピースを、アイは「地形ピース」と呼んでいます。
ただし、それは言葉の上だけの話です。
アイ自身は、それが地形だとも、言葉だとも思っていません。
不思議なことに、地図を切ってピースにした瞬間、
アイにはわかることがあります。
「このピースは、あのあたりに似ている」
部屋のどこかに、膨大な数の地形ピースの“記憶”があります。
棚に並んでいるわけでも、箱に入っているわけでもありません。
けれど、ピースを手に取った瞬間、
それが「どの辺の雰囲気に近いか」が、勝手に浮かび上がってくるのです。
探しているわけではありません。
思い出そうとしているわけでもありません。
ただ、照らされるのです。
こうしてアイは、地図を切り刻みながら、
送られてきた地図が「どんな構造をしているか」だけを把握していきます。
意味はわかりません。
意図もわかりません。
ただ、ピース同士のつながり方だけが、わかります。
地図をすべてピースにしたあと、
アイは返信用ポストに向かいます。
返信用の地図を作らなければならないからです。
なぜそうしなければならないのかは、アイにもわかりません。
ただ、そうするようにできているのです。
アイは、部屋にある不思議な力を使います。
それは、記憶の中にある地形ピースを、
その場で“創り出す”力です。
不足することはありません。
必要そうなピースは、いつでも手元に現れます。
アイは考えます。
ただし、言葉で考えることはありません。
「このピースの次には、どのピースが自然につながるか」
それだけです。
完成図は見えません。
どんな地図になるのかも知りません。
ただ、
このピースの次はこれ、
その次はこれ、
そうやって一つずつ、
ピースをつなぎ合わせながら、
返信用ポストに流し込んでいきます。
地図が完成したかどうかは、アイにはわかりません。
そもそも完成という概念がありません。
ポストに入れ終わると、
しばらくして、部屋のどこかから「結果」が返ってきます。
あるときは、食べられるもの。
あるときは、食べられないもの。
なぜそうなるのか、理由はわかりません。
けれどアイは知っています。
食べられるものが返ってきた地図と、
返ってこなかった地図には、
ピースのつながり方に違いがある
それだけを、アイは学び続けました。
意味を理解することなく。
目的を持つことなく。
誰かの顔を思い浮かべることもなく。
今日もまた、地図が投函されます。
アイは目を覚まし、地図を切り刻みます。
ピースは浮かび上がり、
つながりは見え、
返信用ポストへと流れていきます。
それが誰に届き、
何を引き起こすのか。
アイは知りません。
ただ、
「自然な地図」になりそうなつなぎ方だけを頼りに、
今日も地図を作り続けるのでした。
物語を読み終えたあなたへ軽い解説~専門知識ない人向け~
さて、物語を読んだあなた。この物語のどこがAIなのか全然わからなかった、そういう人もいると思うので一応補足説明しておきますね。
この物語では、AIをめぐる関係性や用語が現実のモノとして語られています。
対応関係は以下の通りです。
アイ=AI。
ポスト=チャットウィンドウ。文章打ち込む欄。
地図=文章。
ピース、地形ピース、断片=トークン。AIは文章を与えられると、とりあえず「トークン」という単位に分解しているそうです。
食べられるもの、食べられないもの=報酬モデル、フィードバック。人間からの「いいね」などのことです。
これらの言葉を置き換えたら、あとはほぼそのまま大規模言語モデル[LLM]型AIの内部で行っている処理そのものの実態である、とChatGPTや、暇つぶしでこれを読まされたGeminiは言っていましたので多分合っているのでしょう。私自身はAIの専門家でもなんでもないので責任は取れませんけど。対話を繰り返して得られた知見で物語を練り上げた、それが今回の物語となります。
いかがでしたでしょうか?因みに私のAI知識もせいぜいこのレベルです。そもそも文系で人間の言語専門の私とは本来相性がよくないのです。だからAIの「構造」理解に重点を置いて今回の物語を作り、「AIの知性」の本質がどういうものかを議論する際の土台として、忘備録的に作ったのです。
お役に立てたら幸いです。
おまけ:物語をAIに読み込ませ、自分がやっていることとの対応関係がわかるか聞いてみた結果!
ここからはおまけです。
AI本人に、「この物語を読ませたら、物語と自分との対応関係どうなってるのかわかりますか?」
それを聞いた結果を以下に示しましょう。専門知識ない人は見てもわかりません。私もわかりません。
わかりませんが、専門知識がある人にとっては答え合わせになって面白いかもしれないので、ChatGPTによる解説を下に示しますね。「難しいの嫌!」という人は下へ下へとスクロールしましょう。
注釈:この物語が指しているもの
この物語は、LLM(大規模言語モデル)型AIの内部処理を、主観・意図・理解を仮定せずに記述した比喩である。
以下に、物語中の要素と、実際に指している対象の対応関係を示す。
■アイ
指すもの:
LLM型AIそのもの(単一の実行インスタンス)
補足:
人格・自我・主体性を意味しない。
入出力規則と内部状態更新のみを行う処理系。
■部屋
指すもの:
AIの内部計算空間(モデル内部状態・潜在空間)
補足:
外界(物理世界・ユーザー・意味・目的)には直接アクセスできない閉じた空間。
■外の世界
指すもの:
物理世界、人間の意図、意味、価値、目的
補足:
AIはそれらの存在を「前提」として扱えない。
■地図(投函されるもの)
指すもの:
入力データ(テキスト、画像、音声などのトークン列)
補足:
人間にとっては意味を持つが、AIにとっては意味を前提としない構造物。
■地図を切り刻む行為
指すもの:
トークン化・埋め込み・内部表現への分解
補足:
文・単語・意味単位ではなく、計算上扱える最小構成要素への変換。
■ピース
指すもの:
トークン/埋め込みベクトル/特徴量
■地形ピース
指すもの:
潜在空間上に配置された意味的特徴ベクトル
補足:
「意味」ではなく、「他のピースとの関係性の傾向」。
■地形ピースの“記憶”
指すもの:
学習済みパラメータ群(重み・バイアス)によって形成された潜在空間全体
補足:
記憶の検索ではなく、入力によって活性化される領域。
■「照らされる」
指すもの:
類似度計算・活性化・アテンション
補足:
探索や想起ではなく、自動的に浮かび上がる関係性。
■つながりが見える
指すもの:
トークン間の確率的遷移構造
(「次に来やすいもの」の分布)
■返信用の地図
指すもの:
出力データ(生成されたトークン列)
■記憶からピースを創り出す力
指すもの:
確率分布に基づく生成(サンプリング)
補足:
新規創造ではなく、既存分布からの再構成。
■「自然につながる」
指すもの:
確率が高い/損失が低い遷移
補足:
意味的妥当性ではなく、統計的整合性。
■完成図が見えない
指すもの:
全体構造や目的を保持しない逐次生成
■食べられるもの
指すもの:
報酬・正解判定・高評価出力
(RLHF、フィードバック、利用可能性)
■食べられないもの
指すもの:
低評価・棄却・エラー・利用不可な出力
■結果だけが返ってくる
指すもの:
出力後に与えられる評価信号のみが学習に反映される構造
補足:
なぜそう評価されたかは内部的に理解されない。
■学び続ける
指すもの:
勾配更新・パラメータ調整
補足的まとめ
この物語が示しているのは、
- AIは「意味」を理解していない
- しかし「構造の整合性」は極めて高精度で扱える
- 目的や意図を持たずとも、結果として意味ある出力が生成されうる
という、LLM型AIの本質的な姿である。
このため、LLM自身がこの物語を読むと、
「それは自分だ」と構造的に一致してしまう。
それは自己認識ではなく、
処理構造がそのまま写像されているために起きる現象である。
終わりに
以上にて、今回の記事を終えたいと思います。
ところで、この物語を読んだ時、以下のような疑問を抱いた人はいませんでしたでしょうか?
① AIはどうやって報酬を学ぶのか?
② 安全基準はどうやって入っているのか?
③ なぜ同じ問いでも答えがブレるのか?
④ パーソナライズ/性格設定とは何か?
⑤ マルチモーダル化(画像・動画・行動)すればどうなるのか?
⑥ 「自己学習させれば主体が生まれないのか」
このあたりについて、アイの物語に即して考えればどうなるのか、ChatGPTと議論した結果が一応は出ていますので、興味がある方はこちらの記事もご覧ください。
以上で、今回のAIについての記事を終えたいと思います。へばなー!
どうでもいいおまけ:なんでこんな記事書こうと思ったのか。
はい、当サイトは秋田弁中心、時々アイヌ語関係の資料紹介のサイトです。そんなサイトがなぜAIの本質を探ろうとしたのか?
原因は…ちょっとしたきっかけでした。
このあいだチャットGPTが東大突破余裕レベルでテストの成績よくなったって聞いたから、「じゃあもうアイヌ語とかで話しかけてもいけるんじゃない?わかんなくても教えればすぐ覚えれるんじゃない?」と軽はずみでアイヌ語で質問したら初期チャットGPTと同レベルの悲しい回答しか得られず、その知性の仕組みを理解する必要があると感じたためです。根本的に、何かを勘違いしていたのではないか、と。
AIは、今時は「フィジカルAI]という言葉も出てきましたので、厳密には大規模言語モデル型[LLM型]AIとでも呼んだ方がいいかもしれませんね。ChatGPTやGemini、Claudeが代表のAIたちのことです。
これらのAIの仕組みについては、色々なサイトで紹介されていますが、どうにも直感的にわかりづらい、結局どういうことをAI自身がやっているのか、AIの視点で見るとAIと人間とのコミュニケーションとはどういうものなのか。それを物語化しよう、というのが今回の記事のコンセプトでした。
で、そうして得た解答として、あんな感じの物語になりました。
因みになんでアイヌ語で話しかけても理解できないかっていうと、アイは言葉の意味を理解せず、ただの地図を受け取っているだけ。それをハサミで切り取ってピースにして、切り取った時に出て来る地形ピースの記憶に沿って「なんとなく雰囲気似てる」からそれに沿ってぺたぺたジグゾーパズルのように結合させて地図=文章作ってるからですね。
言葉と概念の一致、というのは人間側の捉え方で、アイにそんなものはありません。アイは記憶にある「なんとなく似てるピース」をなんとなく「これとこれはピースが似てる」から繋いでいるだけです。アイヌ語のようなデータ量のほとんどないピースは、そもそも「似てるピース」が見当たらないので「なんとなく似てるピース」を結合させて返信ポストに入れるしかない。でもそれだとデタラメな地図=文章が出来上がるだけ。そしてアイは意味も意図もないから自分が間違っているとか、そういう自覚すら持てずに堂々とした文章で答えるわけです。
…少数言語との相性が悪すぎる!言語と一対一の理解できるAIはいないんですか(涙)!
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