秋田弁講座:置換で学ぶ秋田弁
みなさん、こんにちは。
発音講座が終わったところで、ようやくより実践的な、「秋田弁を習得するための講座」というのを始める準備が整いました。
当サイトでは、これまで文法解説と発音講座をやってきましたが、両者を通して「秋田方言」の文法体系と音韻体系はほぼ明らかになりました。
あとは、それらを実際にどう習得するのか、が残る問題となります。当講座「置換で学ぶ秋田弁」は、まさにその、「秋田弁の習得法」に対する一つの答えとなっております。
当講座は、今までの講座に比べて、いや、普通の語学教材などに比べても、小難しさなどは相当程度軽減されています。「かなり直感的に秋田弁を習得できる講座」と思ってくれればよいかと思います。
2023年6月10日追記:本日より新編秋田弁講座文法篇と学習内容が合致した新版の置換で学ぶ秋田弁へと講座内容を若干リニューアルする作業を開始しました。
更新の方法は、今までの置換で学ぶ秋田弁の内容をそのまま新しいバージョンへと置き換えるというもの。要はサイレント修正ですね。新版へ更新する作業は土日に順次やっていきますが、文法篇に追いついたら文法篇と足並みをそろえて更新していくつもりです。
更新済の場合は(新版)と書いてありますので、参考にしてください。
置換で学ぶ秋田弁の方法論
今回の秋田弁講座では、文法解説や発音講座とは一線を画した勉強法で秋田弁を習得していきます。
本講座での勉強法とは、すなわち「置換」です。つまり「おきかえ」のことですね。標準語訳を秋田弁訳に置き換えていく、これが当講座の勉強法なのです。
…って言ってもピンときませんよね。そもそもそんなので本当に言語を習得できるのか?と思った方が大半かと思います。でもそれがですね、秋田弁が日本語の方言であるという特徴故に、可能なのですよ。
秋田方言は、その名の通り秋田の方言なのですが、方言と言われるものと外国語・異民族語との大きな違いは、「対応関係」にあります。
よく、英語などの勉強をしていると、「直訳する」なんて言葉を耳にしますね。つまり、こなれた日本語に直すのではなく、英単語や英語の文法構造に対して、それに対応する日本語訳を決めて、英語→日本語に置き換え、それを日本語の語順に直してできた翻訳のことです。
そういった直訳というのは、外国語や異民族語に対して行えば、しばしば日本語としては違和感を覚えるような変な訳になったりします。これは、異言語と日本語とでは、文型や単語の「意味内容」が微妙に、時には著しくズレていることに起因します。
その点、「方言」と言われるものはどうかと言いますと、文法構造はほぼ同じ。さらに文型や単語の「意味内容」も、ほぼ完全に一致します。
たとえば、当サイトで取り上げる秋田弁と現代日本標準語とでは、文法構造はほぼ完全に一致。両者の違いは、「赤い」が「赤[あ]げぁ」になったりする発音上の差異と、「赤ければ」が「赤げぁば」になったりする活用形の差異、それから、「私」「僕」等一人称代名詞が「俺」「俺[お]ら」などに代用されているという単語の差異程度に過ぎません。
そしてそれらの差異というのは、概ね綺麗な「対応関係」の上に成り立っており、意味内容にほぼズレがありません。
これはつまり、「標準語と秋田弁の対応関係さえ頭に入れられれば、標準語訳→秋田弁訳と置換を繰り返していけば、勝手に完璧な秋田弁文章が出来上がってしまう」ということなのです。
当講座は、このような秋田弁の「方言」としての特質を存分に利用して、言語を習得しようという講座なのです。
故に、当講座で学ぶのは、文法でも発音でもありません。ただその「標準語訳→秋田弁訳」という対応関係を、ただひたすらに暗記していくという講座なのです。
ともあれ、百聞は一見に如かず。この一風変わった秋田弁講座を、どうぞご堪能ください。→記事一覧へジャンプ。
扱う秋田弁について
なお、本講座が扱う秋田弁は、現代秋田弁だけです。
また、現代秋田弁においても、「えぁ」「けぁ」「せぁ」などえぁ段の発音は健在ですが、しばしば「え」「け」「せ」のように、エ段で読まれます。
この傾向は、特に形容詞と助動詞「ねぁ」「てぁ」において顕著ですが、当サイトにおいては、実際の発音に関わらず、表記は本来の形「えぁ」に統一してあります。ご了承ください。