第3課:形容詞の活用・指示副詞
みなさん、こんばんは。
こちらのページでは、今回は形容詞の活用と指示副詞について勉強します。
本文:赤字は今日の学習で習う部分。黄色は今までの勉強で習った項目。
太郎:あー寒びごど。なしてこー寒びべ?
太郎:ああ、寒いなぁ。どうしてこう寒いのだろう?
花子:なしてって、冬ンだもの。寒びな当だり前ぁンだべしゃ。
花子:どうしてって、冬だもの。寒いのは当たり前でしょう。
太郎:なんぼ冬ンだたって、こんでに寒びぐなるもんだってげぁ?これンだばまるンで、北海道ンでいだみでぁんだねぁが。
太郎:いくら冬でも、こんなに寒くなるものだってかい?これじゃあまるで、北海道にいるみたいじゃないか。
花子:北海道って…あんでに寒びどごど比べるほンど寒びってげぁ?ん前ぁまだ大け゚さンだごど。今日ンだばそんでに寒びぐねぁはずンや?たんだにめぁ風邪引だンだげンだあんでねぁが?
花子:北海道って…あんなに寒いところと比べるほど寒いってかい?あんたはもう大げさなんだから。今日はそんなに寒くないはずよ?ただあんたが風邪を引いただけなんじゃないの?
太郎:んだべが?
太郎:そうかな?
花子:んだや、きっと。こごンだば秋田ンだもの。なんでに寒びたって、北海道の冬にンだば敵わねぁ。
花子:そうよ、きっと。ここは秋田だもの。どんなに寒くたって、北海道の冬には敵わないわ。
語釈:黄色は今までの学習で習った項目。
①寒び→寒い。例:あいー寒び日ンだごど。 寒びば暖房点けれは。②なして→どうして。例:なしてンだべ? なして分がらねぁ?③~べ→~だろう。例:明日雨降るべ。 多分そろそろ来るべ?④寒びな→寒いのは。「な」は、名詞化させる準体助詞「の」に当たる語。例:めぁ寒びな苦手ンだ? 勉強するな好ぎンだ人いるってげぁ? あの子喋るな見だごどねぁ。⑤~(ン)だべしゃ→~だろうさ(強調)。例:そんだな常識ンだべしゃ。 あれンだばきっと元気ンだべしゃ。⑥なんぼ→いくら。例:なんぼ頑張ってもでぎねぁ時期はでぎねぁ。 その服なんぼしたって?千円も掛がらねぁがったべ?⑦~たって→~としても。~くても。例:なんぼ頑張ったたってでぎねぁ時期はでぎねぁ。 つまらねぁたって仕事ンだばやらねぁば駄目ンだべ?⑧~ってげぁ?→~と言うのか?例:これ俺さやれってげぁ? こんだ宿題まンだ終わらねぁってげぁ?⑨いだ→(今現在)いる。例:もしもし。めぁ今家ンでいだが? 太郎ンだば今学校ンでいだはずンだや?⑩~みでぁんだ→~みたいだ。例:こーしてれば、俺馬鹿みでぁんだな。 なんだが疲れでるみでぁんだな、あれ。⑪どご→ところ。例:この狭めぁどごンでそー動ぐな。 静がンだどごンで騒け゚ば駄目ンだ。⑫~(ン)だごど。→~だなぁ。例:あー良ー天気ンだごど。 あの子ンだば美人だごど。⑬~(ン)だば→~は。例:今日ンだば駄目ンだ。明日ンだば良たって。 あの子ンだば頭ンだば良たって、性格悪りして良ぐねぁ。⑭たんだに→ただ。例:たんだに勉強ばりしたたって駄目ンだ。 たんだに文句付だたってなんもなねぁべせぁ。⑮んだ→そうだ。例:これンで良あんだが?―んだ。それンで良。 俺らやっぱり行がねぁは。―んだが。せば来ねぁってもいは。
―今日の学習―
①形容詞の活用
以下に示す通り、語幹も活用形の作り方も、標準語と色々違う。なんにせよ、個々の単語の語幹を覚えないことには活用させられないのが実情。
標準語 |
標準語ルール |
秋田弁 |
秋田弁ルール |
|
語幹 |
寒 |
寒び |
||
連用形1 |
寒く |
語幹+く |
寒びぐ |
語幹+ぐ |
連用形2 |
寒かっ |
語幹+かっ |
寒びがっ |
語幹+がっ |
終止形 |
寒い |
語幹+い |
寒び |
語幹 |
連体形 |
寒い |
語幹+い |
寒び |
語幹 |
仮定形1 |
寒けれ |
語幹+けれ |
寒び |
語幹 |
仮定形2 |
寒から |
語幹+から |
寒びがら |
語幹+がら |
注意:現代秋田弁の仮定形2は、後ろに「ば」を付けずに使う。
例文:寒びぐなってきた。寒くなってきた。寒びぐねぁが?寒くないか?寒びがったな。寒かったな。寒びがった冬も終わった。寒かった冬も終わった。寒びがったら炬燵さ入れ。寒かったら炬燵に入れ。寒びがったり暑っちがったり、変だ天気ンだごど。寒かったり暑かったり、変な天気だなぁ。今日寒びな。今日は寒いな。寒び日ンだごど。寒い日だなぁ。寒びば炬燵さ入れ。寒ければ炬燵に入れ。寒びがら炬燵さ入れ。寒からば炬燵に入れ。 注:①仮定形1は、必ず直後に仮定「ば」を入れる。②仮定形2は、現代秋田弁では、直後に「ば」は付けられない。
また、秋田弁では、標準語の「~くて」「~くても」に当たる表現として、以下のような形を取る。
標準語 |
標準語ルール |
秋田弁 |
秋田弁ルール |
|
語幹 |
寒 |
寒び |
||
~くて |
寒くて |
語幹+くて |
寒びして |
語幹+して |
~くても |
寒くても |
語幹+くても |
寒びっても |
語幹+っても |
例文:寒びしてなもかもならねぁ。寒くてどうしようもない。冬ンだば寒びして大変だ。冬は寒くて大変だ。なんぼ寒びってもストーブ点けねぁがったものンだ。いくら寒くてもストーブを点けなかったものだ。
②指示副詞
「こんでに」…こんなに。 例文:こんでに美人でも結婚してねぁ。
「そんでに」…そんなに。 例文:そんでに面白れぐもねぁがった。
「あんでに」…あんなに。 例文:あんでに親切にしてやったのに。
「なんでに」…どんなに。 例文:なんでに頑張っても駄目ンであった。
終わり
以上で今回の秋田弁会話の勉強はおしまい。
ではまた。へばな。
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