秋田の方言(秋田弁)勉強・学習サイト

3.数詞・数量詞

数詞・数量詞

 みなさん、こんにちは。

 

 今回は、近代秋田方言の数詞・数量詞の勉強をします。

1.数詞

 近代の場合、秋田方言の数詞は以下のようになります。

 

(ページ幅の都合上、ずっと下に記載。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

近代秋田方言数詞一覧表

 

漢数字

数え言葉

備考

いぢ

しゅとづ

「しゅとっつ」とも言う。

()

しゅたづ

「しゅたっつ」とも言う。「に()」は、恐らくはいちにーさんしー…と数える時限定で「ー」と伸ばす。

さん

みっつ

 

()

よっつ

「ー」となるのはおそらくはさんしーごーなどと数える時のみ。

()

いづづ

「いづっつ」とも言う。「ご()」は、恐らくは数える時限定で「ー」となる。

ろぐ

むっつ

 

しぢ

ななづ

「ななっつ」とも言う。

はぢ

やっつ

 

()

こごのづ

「こごのっつ」とも言う。「くー」と伸ばすのはおそらく数える時限定。

じゅー

とー

 

ふぇぁぐ

 

二百は「にゑぁぐ」。後はさんぶぇぁぐ、よんふぇぁぐ、ごふぇぁぐ…と定める

せん

 

 

まん

 

 

おぐ

 

 

ちょー

 

 

 

備考:

①「いくつ」は、「なぼなぼづ」「なぼなぼっつ」と言います。

 

②「四」「七」「九」の発音について:
日本共通語では、「七十個」「二十九円」「四十四回」の「七」「九」「四」を、それぞれ「しち」「く」「し」と言わずに「なな」「きゅう」「よん」と言いますが、近代秋田方言も、当サイトの方針としては「なな」「きゅう」「よん」等と共通語と同じ発音をすることとします。

参考:ちなみに『秋田方言』では、特に「なな」「きゅー」「よん」という言葉があるかどうか言及していません。言及しない場合は、「そこは共通語と変わんねぇよ」ってことなんだと私は勝手に解釈しています。特筆すべきことがないからいちいち書かぬのでは?ってことです。

 

 ふぅ…これだけでも結構な量ですね。

 

 まぁ実は、『秋田方言』では、数詞はさらっと簡単に書いてるだけで、「千」「万」「兆」は載ってすらいないし、四・五・九は「しー」「ごー」「く」みたいに表記方法とかもいまいち統一してないんすけどね。「ー」が数え言葉限定なんてのも完全に私の勝手な推測です。

 

 『秋田方言』のその辺の「不足」は、実際の使用に耐えうるレベルに、私が勝手に現代秋田弁や日本共通語の使用状況と比較して「おそらくこういう形だったであろう。おそらくこういう使用方法だっただろう」と「復元」しています。

 

 なので、学術的な研究かなんかで、或いはみずからの趣味の一環としてでも、『秋田方言』の正確な情報だけが知りたいって人は、自分で『秋田方言』を読んでくださいね。近代デジタルライブラリーで「秋田方言」って検索すれば無料で見れますのでね。多分学術的にも結構面白い内容じゃないっすかね、昔の秋田弁ってことですし。

2.数量詞

 近代秋田方言の数量詞は、以下の通りです。めちゃくちゃ長いすから気長に読んでね。自分も書いてて疲れてきました。ハハハハ、数量詞メンドクセー。てか違いありすぎ。

 

近代秋田方言数量詞まとめ

①月日の「月」…日常→「ぐゎづ」と言う。 改まった場面→「げづ」と言う。

 

②年齢の「歳」…歳を省いて、「にじゅー[二十歳]」「さんじゅー[三十歳]」「しじゅー[四十歳]」「ごじゅー[五十歳]」「しぢじゅー[七十歳]「くじゅー[九十]」のように漢数字で言う。

参考:本当は『秋田方言』には、二十・三十の例しか載せてません。なので七十・九十など他の言葉をどう言ったかは不明です。ただ現代秋田弁でも「九十歳」はしばしば「九十[くじゅー]」と言われるため、そこから類推して上記のように復元しました。
あと、『秋田方言』では「二十」「三十」は「にんじゅ」「さんじゅ」と表記されていますが、これは音韻上の問題が絡んでいて(鼻音を長く言っただけのものを「ん」と表記してしまっていると思しい)、標準的な表記としては相応しくない。なので当サイトが定める(そのうち音韻上のルールとか表記法とかまとめる、つもりでいますが実行するかは現在未定です・・・)ルールに沿って書き直してます。

 

注意:0~10歳の言い方は『秋田方言』には不載です。本サイトの方針としては、近代秋田方言が昔の言葉であることを考慮し、0~10歳は数え言葉「しゅとづ/しゅとっつ」「しゅたづ/しゅたっつ」「みっつ」…「とー」と言うこととします。

 

③回数:一回→「しゅとげぁり」 二回→「しゅたげぁり」。 三回以降は標準語を秋田方言に訛らせた「さんくゎい」「よんくゎい」「ごぐゎい」を用いる。

参考:一回二回以外は『秋田方言』には不載です。この二例に倣えば、「三回」→「みげぁり」、「四回」→「よげぁり」のように言えそうなんですが…ほら、標準語にもあるじゃないっすか。「一人」→「ひとり」、「二人」→「ふたり」、「三人」→×:「みたり」 ○:「さんにん」 「四人」→×:「よたり」 ○:「よにん」 とかいうわけのわからぬ不規則数量詞。
 なので、当サイトでも念のため「三回」以降は「さんくゎい」「よんくゎい」「ごぐゎい」の如く、標準語を一定のルールに沿って秋田方言に訛らせた形を用いることとします。行き過ぎた推測を避けるための無難な措置ですね、はい。

 

④一・六・八・十 +ハ行/パ行で始まる数量詞:一・六・八・十が「いっ」「ろっ」「はっ」「じっ」のように発音されるようになる。
例:兎・鳥等の数量詞「羽[は]」→一羽[いっぱ] 六羽[ろっぱ] 八羽[はっぱ] 十羽[じっぱ]

参考:『秋田方言』では、「十」については言及がありませんが、標準語で「十羽」を「じゅうわ」とも「じっぱ」とも発音するところから類推して、恐らくは「十」も一・六・八と同じ変化をするものと推測し、補足しました。

 

⑤「杯[はい]」→「へぁ」と発音する。なので「ぱい」→「ぺぁ」、「ばい」→「べぁ」となる。また、「杯」は烏賊・舟を数えるのにも使用される。
例:飯一杯[めしいっぱい]→めしいっぺぁ 烏賊二杯[にかにはい]→いがにへぁ 舟三杯→ふねさんべぁ 等々

参考:実は現代標準語でも、烏賊は「杯[はい]」と数えるし、舟も「杯」と数えることができます(その辺の国語辞典参照)。それでもわざわざ『秋田方言』が烏賊や舟を数えるに「杯」を用いると明記したのは、恐らくはそれが秋田方言における標準的な数量詞だったからなのでしょうね。つまり、舟を「艘」とか「隻」とか使って数えたりしなかった可能性があるってことです。

 

⑥袴を数える言葉「具[ぐ]」→「具[ごー]」と読む。
例:袴一具[はかまいちぐ]→はがまいぢごー 袴二具[はかまにぐ]→はがまにごー

 

⑦貨幣単位:円→「貫[くゎん]」と言う。 銭→「十文」と言う。 十銭以上→文を省いて漢数字で言う。
例:176円9銭→ふぇぁぐななじゅーろっくゎん きゅーじゅーもん19254円99銭→いぢまんきゅーせんにゑぁぐごじゅーよんくゎん きゅーふぇぁぐきゅーじゅー

参考:『秋田方言』では円=貫、銭=十文、十銭=百、十五銭=百五十という情報が読み取れるのみで、二銭~九銭をどう言ったかはぶっちゃけ謎です。ただ、わざわざ十銭以降で「文」が省かれている例を二つ出しているので、十銭以降は数え方を変える、つまり「文」を省いて言うのだろうと、私が勝手に推測して上記のように定めた次第です。
 因みに『秋田方言』には、この他にも「50銭」=「2分[にぶ]」、「円」=「両[りょー]」という情報も記されています。これに従えば、1分=25銭 4分=100銭=1両ですね。うんうん、昔の貨幣単位的に、両[りょう]は分[ぶ]の4分の1だから、計算上正しいね。
 …でもね、現代では、貨幣単位は例で示したような細かい数字を表す機会が圧倒的に多いわけだよ、株価とかね。きっかり25銭しか表せない「分」等使い勝手が悪すぎて覚える意味ないわー!ってことで省きました。はい。だって使えんもん、こんなん覚えても。
 まぁもともと近代秋田方言を使おうとする人がいるかは疑問ですけどね、ハハハハ。

 

終わりの言葉

 以上、今回は近代秋田方言の数詞、数量詞を見てきましたー。

 

 …うわぁ、メンドクセー。超がつくほどメンドクセー。…でも仕方ない。言葉だもの。しっかり覚えようとすると、それなりに面倒なもんにも直面するさ。

 

 外国語よりましっしょ?いや、実用性の観点からいうと外国語の方がましかもしんないけど…。

 

 まぁなんにせよ、今回は皆さまお疲れ様でした。

 

 それでは今回はこの辺で。あばや。

 

対応する現代秋田弁の記事:こちらとなります。

 

 

 

 

 

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